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        2008-03-21        ラピュタアニメーションフェスティバル2008(一日目)

僕はパリーグの開幕戦というのは見逃したことがないのですけれども、
ラピュタフェスが重なってしまったら仕方ないです。
いやあ、充実の一日でした。
今日のプログラムはまだ他の日に上映ありますし、速報性高いと思うので書いておきます。
興味をもたれた方は阿佐ヶ谷にGOです。

○11:00- 『FRANK AND WENDY』
かなり楽しみしていました、FRANK AND WENDY。プリート・パルンが脚本とキャラクターデザイン、監督にはウロ・ピッコフ、プリート・テンダー、カスパル・ヤンシスとエストニアのヨーニスフィルムの猛者たちが並んだアニメーション・シリーズの一挙上映。
 FBI捜査官のフランクとウェンディーが悪の枢軸であるエストニアに潜入捜査。小人ナチなどと戦います。言葉で説明すると悪ふざけ(しかもタチが悪い)にしか思えず、実際、作品を観てもタチの悪い冗談としか思えないような部分も多々あるのですが、そこは文化の違いと割り切っていきましょう。カートゥーンはただでさえ文化的背景がべっとりしていますからね。
 一言感想を言うとすれば、「いやあ、疲れた」。もともと全部をいっぺんに観るようには想定されていないのですよね?なら仕方ない。とにかく情報力が多いです。キャラクターが多いしデザインもそれぞれだし、「あ、パルン作品のあのキャラだ」とか気付いたらきりがない。いろんな国のステレオタイプを代表する登場人物たちは特に設定も説明されないまま生き生きと動き回りますので、いろいろな記憶をたぐりよせる必要もあります。さらに字幕も追わないといけないですし。
 でも、この情報量の多さはこの作品の命なんです。そう思います。ディテールの積み重ね「のみ」で勝負するようなところがある。それらを過剰に畳み掛けていくような。普通のアニメーションならば共存しないような世界が共存しています。考えなきゃいけないという意味ではなく、頭を使います。ぐいぐい振り回されます。盛りだくさんすぎて疲れます。いつもどおりぐちゃぐちゃしてぶにぶにします。スノーマンも登場します。ああ、まとまらない。笑えるところはもちろんたくさんあります。僕は砂糖大根のキャラクターにやられました。あと日本人観光客が発する「あ、FBIだ」という台詞(これは日本語で響きます)。よくよく考えると恐ろしいディテールもさらっと積み込まれています。主人公の二人が感覚をほとんど失っているところとか、肉体をどんどん変貌させていくところとか。普通の作品であれば一つの作品ができあがってしまうようなディテールが盛りだくさん。ほっぽられたままずんずん進んでいきます。書いていると終わらないので次いきます。とりとめのない作品なのです。
 字幕ついてますし、滅多にない機会なので、是非どうぞ。エストニアものが好きな人は特に必見です。

○13:00- ミハイル・トゥメリヤ選 作品集
 今回のフェスにノルシュテインはいませんが、かわりにトゥメリヤ氏が来日なさっています。ポスト・ソビエト若手作家の選集もあわせて上映です。会場は満員で補助席もでるほど。熱気に包まれていました。(というか暖房が……)
 "Marathon"(ミハイル・トゥメリヤ&アレクサンドル・ペトロフ)にはミッキー・マウスが登場します。本物です。(でも本物のミッキー・マウスってなんでしょう。とりあえず、パチもんではないという意味での本物です。)制作背景を調べていないのでどうしてこういう作品が作られたのかわからないのですが、作品としての出来は良いです。1928年に生まれた子供が、同じく28年生まれのミッキーマウスと軽快なダンスのマラソンを行っていきます。何年も何年も。人間は当然のことながら成長しますので青年、中年、老年と変容していきます。しかしミッキーは変わりません。60年が経ったところでストップ。老人はもはや息を切らして踊れず、優しい僕らのミッキーは椅子を用意してくれ、「あとはスクリーンでね!」とばかりにさよならを。おじいちゃんは孫と一緒にテレビのスクリーンを通じて、ミッキーの軽快なダンスを観ることとなるのです。しかし怖い作品ですね。キャラクターは死なないんです。僕らが死に絶えたあとにも、ミッキーは永遠に愉快に踊りつづけるのです。(ミッキーのプロポーションも確か変化していたはずですが、そこらへんはやはりいいんでしょうか。)
 "Line"(トゥメリヤ)は短篇として模範的な構成をもった作品。線と点とその少々のにじみだけで出来上がった作品です。点であるところの人間は、線を引かれた環境のなかで同じ歌を同じように歌います。しかし一人だけ、美声で朗らかに歌う点がいる。周りの点はそれを押さえつけようとするのですが、そのトリックスター的な点の力は、点たちの住む領域を揺さぶり、ついには破り去ってしまいます。どんな作品なのか、この説明で想像できるのではないでしょうか。
 "Lift"(トゥメリヤ)は、「パイロット・スタジオ傑作選」にも収録されている『エレベーター』シリーズの一編。ケンタウロスのサーカス。これもまた教科書的な展開。
 "The Song of Wolfgang the Intrepid, the Glorious Destroyer of Dragons"(トゥメリヤ)は英雄物語のパロディー。ノルシュテイン&イワノフ=ワノ『ケルジェネツ』みたいな格式高いオープニングとは裏腹に、中身はしょんぼり騎士のお話。ドラゴン退治にいくものの、ドラゴンは起きてさえくれず、寝息の炎で騎士はおしまい。あ、あんまりネタバレにならない書き方の方がよかったかな。
 『ボール』(トゥメリヤ)もまたよくできた作品。ディレクションが行き届いています。良識ある大人に愛され、そのよくできた息子に与えるにはもってこいの作品という印象。
 『ベラルーシのことわざ』(トゥメリヤ)は……まあいいや。

 後半はポスト・ソヴィエト作家の作品群とのこと。詳しい情報がアナウンスされていないので、間違っていたらすいません。明日以降、「ちいさな学校」の会場で上映リストが配布されるそうです。
 『お魚さん』(ロマンツォフ)は切り絵ベースの作品。釣られた魚に憐憫の情を抱いてしまった少女のお話。ロシアで切り絵っていうとゴッドファーザーのユーリー・ノルシュテインの呪縛から逃れられないところがあるのですが、この作品もそんななかに入ります。雪の振り方など、ノルシュテイン的技術の伝統が息づいているのがわかります。この作品も基本的に無害でステレオタイプ的描写が多いのですが、そこからはみだしていくような美しいシーンやどきりとさせられるシーンが随所に散りばめられています。この作品は子供をテーマにしていますが、子供の絵をみていると、ありきたりの描き方に縛り付けられたつまらなさとそこからはみ出るなにかを感じてしまうことがありますよね。この作品はまさにそういう感じです。拙いということではないですよ。作家の意識の問題です。僕がこの作品について素晴らしいと思った部分は、おそらく作家の意図するものとは違うでしょう。
 『アフリカの子守唄』は……まあいいや。
 『兵士と死』は前回のフェスでも特集されていたロシアの民話アニメーションシリーズ「宝の山」の一編。だいぶ意識が飛んだ上に字幕が英語でちょっと厳しかったのですが、なかなかよくできて面白かった記憶があります。なんだか呪いと死が世界を支配し、それをとぼけた感じの兵士が突破していくという物語だったような。すいません曖昧で。
 『クマさんのお話』も「宝の山』シリーズの一編。『兵士と死』がこのシリーズがうまく転んだ例だとすれば、こっちは悪い例。最悪です。
 あと二作品ありましたが、特に記すべきことはありません。たとえ日本の子守唄が使用されていようとも。

○15:00- 『ハバナの吸血鬼』More Vampires in Habana(2003)
 思わぬ掘り出し物がこれ。全編スペイン語で英語の字幕さえないですが、面白いです。話の筋は映像だけ観ていてもわかります。むしろ字幕に邪魔されないぶんだけ映像に集中できます。観ている最中は「2003年作品なのになんでこんなに絵柄が古いのだろう」「こんな絵柄なのに乗り物は3DCGなのだな」と不思議に思っていたのですが、ちょっと調べたかぎりでは、1985年の"Vampires in Habana"という作品の続編らしく、それで納得。絵柄を形容しようとしたのですが、商業系の知識に乏しい僕には無理でした。メモ書きをみると「シンプソンズ」「コボちゃん」と書いてあります。正しいのかどうかわかりません。
 ともかく、おすすめです。(ただし字幕はないですよ!一応念を押しておきますが。)
 でも、台詞がなくても物語がわかる、なぜなら単純な物語だからだ、と言ってしまうと、「じゃあどうして面白いと思ったのだろう」とか余計なことを考えてしまいますが、とにかく面白かったです。アニメーションってなんだろう。

○17:00- 山村浩二講演
 主にメイキングについての講演でした。制作を志す方々にはいろいろと役立つ内容だったのではないでしょうか。詳しい内容については今度書きます。

○19:00- ミハイル・トゥメリヤ トーク
 さあ、本日一番の大当たり。これを見ずに帰った方は思う存分に後悔してください。トークと銘打たれていますが、実質的には作品上映プログラムです。
 2007年のクローク国際アニメーション・フェスティバルで表彰を受けた作品を、トゥメリヤさんの解説と共にみていきましょう、という感じです。
 クロークは、河の上で行われるフェスティバルだそうです。舟に乗ってどんぶらことしながら、アニメーションを観るのだそうです。楽しそうだなー。
 トップバッターはJEU[一部視聴あり]』(ジョルジュ・シュヴィッツゲーベル)。近年の傑作の一つですね。前回の広島、前回のラピュタフェス、日仏学院のイベント、去年のイメージフォーラム・フェス……とちょっと思い出しただけでこれだけ上映されています。お馴染みの作品ですしここでのコメントは省かせてもらいます。何回観てもいい作品です。
 "Lapsus"(Juan Pablo Zaramella)はメディア芸術祭の「ベスト・オブ・オタワ」で紹介済みなのでそちらをどうぞ。
 "Apple Pie"(イザベル・ファベ)は前回の広島のコンペイン作品。いやあ、良くできた作品です。二回目ですが、ものすごく面白かった。「シンプルなデザインや設定で、複雑かつ繊細なドラマを展開する」とトゥメリヤさんはおっしゃってましたが、そのシンプルさゆえに成立するこの破天荒な展開。非常に複雑な構成で、クレバーな感じもしますが、キャラクターの可愛さと展開のテンポの良さもあって、ぐいぐいと引き込まれます。キャラクターの致命的なミスに思わず「あっ……」と声を出してしまいました。この人の作品はいつも残酷です。こちらもまた名作だと思う"Circuit Marine"は前も紹介しましたがここで買えます。なんと1.5ユーロで。抜粋もみれますんでどうぞ。
 "The Tale of how"(The Black Heart Gang)[抜粋視聴可]はいけすかない感じのCG作品。アニメーション・オペラですって。こういう調子に乗った作品は嫌いです。みなさんも乗せられないように。
 "Get Tuned""Pole Hole"(Alexey Alexeev)。かの有名なピンスクリーン作家と同名の方です。パイロット(ピロット)フィルムに所属していた経験があり、『ミスター・ビーン』のアニメーション版の制作にも関わったことがあるようです。さらにコヴァリョフ(コワリョーフ)の『ミルク』『アンドレイ・スヴィスローツキー』にも参加しています。という多彩な経歴をお持ちのこの方です。作品は毒にも薬にもならないですが、人によっては「クスリ」としてしまうのでは。でもこれがパンク・アニメーションだとは思わない。それは勘違いしてる。
 さあきました。"Dreams and Desires: Family Ties"(Joanna Quinn)。もはや巨匠のジョアンナ・クインの、前回のザグレブのグランプリ。やっと観れましたがこれはすごいです。感動しました。結婚式をホームビデオに残そうとするもう若くはない小太りの女性の物語。作品はずっとビデオカメラ目線で。素人なので適切な距離感がとれず、面白い絵になっています。というか、この主人公自体が適切な距離感を欠いた人で、それが泣けます。ビデオ撮影するのにも一生懸命やろうとしたのだろうな、というのがベッド脇のヒッチコックやメリエスの本からもわかります。無論間違った方向の努力なのですが。ああなんたる迫力となんたる愛おしさ。しっちゃかめっちゃかになった結婚式は結局悪夢だったのですが。物語間違えてるかもしれないです。だって英語でまくしたてるんだもん。でもそんなのどうでもいいですよ。言葉わからなくとも鳥肌立ったもん。今年の広島で観れるといいですね……
 "Rain Down from Above"(Ivan Maximov)。これも大当たり。「パイロット傑作選」で『スヴィスローツキー』と並んで素晴らしい作品だった「5/4」の人です。この人すごいです。小さくて凝縮されたキュートな動物キャラクターと人間キャラクターの暮らす世界に雨が降るという作品です。雨の降る気配のないときの何気ない日常の光景の描写がまず素晴らしいです。キャラクターが動いた瞬間にすごさがわかります。雨が訪れる気配と、それに過敏に反応する動物が愛おしいです。こういった感情の細かなひだを表現するのに、一瞬の変容を表現するのに、アニメーションほど向いているメディアはないです。でもタルコフスキーもそういう瞬間をたくさん持っていましたね。僕はつねづねタルコフスキーはアニメーション的な作家だと思っているのです。雨が生活を洗い流していく描写がまた素晴らしい。ある者はやむをえず、ある者は無抵抗に、雨と増水する河に流されていきます。水車で回るメリーゴーラウンド(じゃないな、ゴンドラのあれはなんていう名前だっけ?)は勢いを増していき、それに乗る子供は楽しそう。でも、速くなりすぎて降りられなくなる。喜びの「キャー」は叫びの「キャー」に。そして雨がやんでようやく降りれるようになれば、当然のことながら目を回して砂の上にとすんと転び落ちる。ああ、思い出して書いているだけで愛おしい。元物理学者なんですって。キャラクターのこのいい感じの堅さは物理的?かわいいだけじゃないんだぜ。どきっしたい方はこの人の作品を!


 今日はここでやめていいですか。ちょっともう眠いです。またあとで書き直しますんで。それではまた明日!トゥメリヤさんありがとうスパシーバ、良い時間を過ごせました。マキシーモフさんやクインさんもありがとう。

 東日本の方はラピュタへ、西日本の方は土曜に武豊へ!

ロシア映画DVDコレクション パイロット・スタジオ・アニメセレクション
新感覚ロシア・アニメーションの世界[Amazon]
:『5/4』『アンドレイ・スヴィスローツキー』が入っています。


土居

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