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        2007-12-10        「世界映画人会議II 世界の若手アニメーターの現状」(2)& チェコとハンガリー

「世界の若手アニメーターの現状」レポート、続編です。

NFBのマイケル・フクシマさんに続いては、フランスの民間スタジオ、フォリマージュからパスカル・ルノートルさんです。フォリマージュは、こども向けの商業的な作品を制作しながら、一方で作家性の強い短篇アニメーション作品も多く生み出してきました。最近では長編制作も行っており、興行的な成功も収めています。(現在、長編企画の一本として、去年の広島でも上映された『廊下』の監督ジャン=ルプ・フェリシオリとアラン・ガニョルがほぼ2人だけで制作しているものもあるそうです。)
フォリマージュ自体、ルノートルさんらが学生時代に「若手が芸術性のあるアニメーションをつくるため」に設立したものであるわけですが、現在もその方針は貫かれ、なかでもアーティスト・イン・レジデンス・プログラムは、大きな成果を挙げています。ざっと名前を出してみても、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の『お坊さんとさかな』、ユーリ・ツェレンコフ監督の『渡り鳥の珍道中』、コンスタンティン・ブロンジット監督の『世界の果てで』、レジーナ・ペソア監督の『ハッピーエンドの不幸なお話』など、「ああ、あれね」と印象に残る良質な作品が並びます。このプログラムは、フランスの有料テレビ局Canal +と仏独共同の教育テレビ局Arteからの支援も受けており、これらの局で放映もされるそうです。
「ハッピーエンドの不幸なお話」[Amazon](『お坊さんと魚』『渡り鳥の珍道中』『ハッピーエンドの不幸なお話』収録)
「国際アートアニメーションインデックスVol.3」[Amazon](『世界の果てにて』収録)

三人目のプレゼンテーションは、ドイツのスタジオ・ゾイからザシュカ・ウンセルドさん。彼は、ドイツに三校だけあるアニメーション・コースのうちの一つ、バーデン・ヴュルテンベルク州立フィルムアカデミーで教鞭をとってもいます。フィルムアカデミーはとても「実践的」な学校で、実務経験があり、英語を話せる人を対象にして学生を募っているそうです。その対象はドイツ人に限らず、外国人にも門戸は開かれています。一学年は15人程度なのですが、その試験がかなりのもので、論文審査を経て30人に絞られると、彼らは三日間の制作試験を受けなければなりません。アカデミー出身者の作品として紹介されるものをみると、実務経験者なだけあり、クオリティーは相当高いです。しかし、僕個人の意見を言うと、商品としてしか流通しない「悪しきヨーロッパ作品」のような印象を受けてしまいます。そういうものの方が需要があるのでしょうから仕方ないですが。

最後のプレゼンテーションは、古川タクさん。ICAFは日本唯一の学生アニメーション映画祭で、今年ですでに5回目を数えるわけですが、そこで光る人たちが、卒業するとみないなくなってしまう。これから初めて「作品」と呼べるようなものをつくれそうな人たちなのに……という悲しい現状があるわけです。アニメーション科に入ってくる人たちのほとんどは、入学時は「アニメ」がやりたくて入ってくるわけですが(仕方のないことです)、4年間の教育でその世界を次第に広げていきます。そうして、立派な卒業制作作品をつくるわけですが、その後の進路が問題です。ラッキーならばフリーランスでなんとかやっていけるものの、自分の企画で作品をつくることができない。そうするための道がないわけです。会社に就職してしまえば、忙しくて自主制作ができない。そんなふうにして、「作家」としての若手は消えていってしまいます。その後のディスカッションでは、日本国内はコンペは充実しているものの、アート的なものに理解があるプロデューサー的な人材が不足しているということも問題点として挙げておられました。

会場からの質疑応答で印象深かったものを二つほど。
1、作家主義的な作品を制作することと、ビジネス的な側面はどのように折り合いがつけられているのか。
ウンセルド:自分が所属するスタジオ・ソイは、受注した作品を制作しているものの、予算はやりたいことをやるためには常に足りない。面白さを追求することと収支のバランスをとるのはいつも難しい。
フクシマ:NFBにおいては二つの考え方がある。まず第一に、アメリカ的に、非常に商業的なアプローチを取るやり方。市場原理に基づいて、作品を流通させる。もう一つのやり方は、文化的価値という側面を重視し、制作費のもとを取ろうと考えないもの。制作されたもののわずか20%しかテレビで放映されないというように、短篇アニメーションだけで黒字の経営をするのを無理。「短篇をつくるんだ!」というアイデンティティーの維持のために、国が予算を出してくれることに頼るしかない。

2、どの作家と組む、どの作品を支援する、というのを決めるための評価はいかにして行うのか。
フクシマ:まったくフェアでなく、民主的でもないが、自分の関心を惹くもの。ただし、NFBがこれまで制作してきた作品から、歴史的な傾向というのも見えてくる。それも考慮する。
ウンセルド:フィルムアカデミーの入学基準も、結局のところ学生を評価する人たちの見識にかかっている。
ルノートル:アーティスト・イン・レジデンスも、選ぶ人の意見が占める比重がとても大きい。あえて基準をいえば、良いストーリーがあること、時代性、グラフィックの質。
古川:直感。
(面白いことに、同じような答えが並びました。)

このシンポジウムは、「なぜ日本の若手作品はアカデミー賞にノミネートされないのか」という裏テーマが設定されていたのですが、以上の内容をみていただければ、その理由は自然とわかってくるというものです。

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お知らせがとても遅くなってしまいましたが、「ファンタスティック!チェコアニメ映画祭」が現在開催中です。試写で一部をみせてもらいましたが、ポヤル監督作品がやはりずば抜けた見所です。ベドジフ作品も良いです。
「ファンタスティック!チェコアニメ映画祭」公式ホームページ
ユーロスペースでは同時開催で、ハンガリアン・フォークテイルズがレイトショー上映されています。お知らせが遅れてしまったがゆえに、Aプログラムはすでに終了してしまいました。すいません。Bプログラムも14日までです。お見逃しなきよう。
「ハンガリアン・フォークテイルズ」

土居

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