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        2011-12-28        いろいろな国のアニメーション2011

今日は12月28日、2011年ももうすぐ終わりです。twitterの方を中心にしてしまったので、ブログの方がお留守になりがちでしたが、まあ今年もいろいろとありました。忘れてはいけない大きなことは忘れずにおきながら、ここではアニメーションのことだけを振り返っていきます。

今年は国内では「アニメーションズ・フェスティバル アンコール」を全国4箇所で、こちらはCALFですが「和田淳と世界のアニメーション」も4箇所で公開できました。『マイブリッジの糸』と『緑子/MIDORI-KO』がほぼ同時期に公開されつつ、さらに『サヴァイヴィング・ライフ』まで重なり、そういえば『メアリー&マックス』(DVD・ブルーレイでてますよ)や『イリュージョニスト』(パンフレットがひどかった)の日本公開も今年なのでした。その他単発的な上映(「ポーランドアニメーション映画祭」と「DREAMS 追悼・相原信洋」が続けて公開されたシアター・イメージフォーラムはアツかった)も含め、いわゆる「アニメーション」の鑑賞環境としては、今年の東京はかなり充実していたのではないかと思われます。

個人的には今年は例年以上にいろいろな国にお邪魔して、それぞれの国にそれぞれの、アニメーションと社会との関わりがあるということを実感しましたので、今回のエントリではそこらへんのことを。ちなみに今年はニッポンコネクション(ドイツ・フランクフルト)、アニフェスト(チェコ・テプリツェ)、シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭(ドイツ・シュトゥットガルト)、アニメーター・フェスティバル(ポーランド・ポズナン)、CINDI映画祭(韓国・ソウル)、アニメ・コンヴェンション・ニューデリー(インド・ニューデリー)、アニメーテッド・ドリームス(エストニア・タリン)、ドン・ハーツフェルトの夕べ(アメリカ・サンフランシスコ)に行きました。(5月から12月上旬のほぼ6ヶ月のあいだに集中的に行ったので、さすがに疲れた。)

CALFの活動としては、今年はアニメーションというよりインディペンデント映画と交わった年だったと思うのですが、ヨーロッパ最大の日本映画専門映画祭ニッポンコネクションはまさにそのようなかたちでCALFを取り上げてくれました。(CALFの活動にいち早く反応してくれたのは、国内の映画・アニメーション専門のメディアではなく、インディペンデントを中心に日本映画を取り上げる海外の人たちだったということは個人的に興味深いです。)

アニフェストはニッポンコネクションとシュトゥットガルトの合間に訪問したので最後の2日間のみしか参加できませんでした。だからあまり全体像は把握できなかったのですが、なんとなく、元気がないようにみえました。長々としておどけた閉会式はクロク国際アニメーション映画祭を思わせて、旧共産圏のアニメーション・コミュニティ特有の心地よいがゆえに危険な自閉性がまだ生きていることを実感しました。相原信洋さんの訃報を知ったのもチェコでのことでした。パヴラートヴァに伝え、彼女は当然のことながらショックを受けていました。

シュトゥットガルトは歴史もあり規模もかなり大きいのに日本だと4大映画祭に隠れてなかなか注目を浴びませんが、個人的にはかなり刺激的な映画祭でした。ドイツ全体のアニメーション・シーンを理解できるほどの知見はないのですが、シュトゥットガルトから判断するに、ドイツではインディペンデントと商業シーンのギャップがあまりないように感じました。(それはこの映画祭を裏で牛耳るフィルムアカデミーの立ち位置から判断できるかもしれません。この学校は明確に、アニメーション産業用の人材育成を志向しているからです。)個人的にはASIFA的なアニメーション観(アニメーション=芸術かつアニメーションの正統主義)に少し閉塞感を感じはじめていたところだったので、ちょっとでもアニメーション技術が用いられていたり「アニメーションっぽさ」があればば問題なくコンペに入るこのフェスは新鮮でした。結果的に、ストーリーテリング/エンターテインメントとしての短編アニメーションという他の大きなフェスからは見えにくい短編の姿を見出すことができました。アヌシーが近いのかもしれませんがアヌシーはアニメーションに対してかなり保守的(米アカデミー賞と同じ)である一方、シュトゥットガルトは革新性も評価するというか、「なんでもあり」感が強くてそのフラットな見方が面白かったです。

個人的には2011年はポーランド・アニメーションを再発見した年でもありました。そしてその再発見はある程度準備されていたものでもあったのです。アニメーターフェスに参加して思ったのは(みなさん知らないと思いますけど、賞金がすごく高いから出した方がいいですよ)、ポーランドのアニメーションが他の共産圏とは異なるバックグラウンドを持っていること、そして、ポーランドは国産映画(アニメーションも含む)に対する支援と伝統の保持への志向が強いということでした。他の共産圏が巨大な国営スタジオの影響下のうちに「共産主義圏のアニメーション」という伝統を強く持っていた一方で、ポーランドではアニメーションに従事する人がもう少し異なる文化的背景を背負っていた印象があります。作品もそれを反映していて、一筋縄ではいかないものが多いです。(イメフォでの特集を観た人はよくわかるでしょう。)アニメーターフェスはフェスティバルディレクターがアメリカの実験映画シーンと関わりの強い人で、そこらへんの文脈も知れたのがとても良かったです。アメリカの状況も、ASIFA的な短編アニメーション観が支配的な日本ではなかなか見えてきませんが、おそらく構造としては日本とあまり変わらず、巨大なアニメーション産業の影に隠れて映画と混ざりあったインディペンデント・シーンと実験映画シーンの一部としてのアニメーションというものがあるのではないでしょうか。(インディペンデント映画・実験映画との交わりは、イギリスを除くヨーロッパ圏では希薄である印象があります。)アニメーターフェスでもメディアアートや音楽など、アニメーションを周辺領域とクロスオーバーさせる試みが意識的に(そしてある意味自然に)おこなわれており、アニメーションを広げようとする(というか元から境界をそれほど意識していない)意識を強く感じました。ポーランドが自国の映画芸術の伝統をきちんと伝えていこうとしているのは具体的に見えてきており、アンソロジーのDVDが出たり、歴史的な作家のDVDのリリースをはじめたり、若手の作品もきちんと紹介したり、当地のフィルム・インスティテュートの存在感が強かったです。これは日本にはまったくない構造なので、率直に言ってうらやましく思いました。

韓国のCINDIはデジタル専門の映画祭で、アニメーションが占めるプレゼンスは高くないのですが、短編作品のレビューを書かせてもらったこともあり参加しました。韓国のインディペンデント・アニメーションシーンについてはいまだに僕はあまりよくわかっていないのですが(すでに日韓に強いつながりがあるので、そういう場合は僕に話が回ってくることはないのです)、この映画祭自体は、韓国有数のシネコンを経営している企業が運営しており公的なお金がまったく入っていないうえに、賞を穫った作品には賞金もそうですが韓国国内の配給をサポートするなどこれもまた日本ではあまり見当たらないので面白いなあと思ったわけです。

インドのアニメコンヴェンションは名前が示すとおり日本の商業作品を紹介するイベントだったのですが、なぜかCALFがお呼ばれしました。その「なぜ」は現地に行ってすぐ解明したわけですけど、主催者は別にアニメだけを紹介したいわけではなく、比較的お金と人が動きやすいフレームを使いながら自分たちのやりたいことをやってしまうという「攻め」のイベント運営をやっていたのです。このイベントの主催のニテシが本当に意図しているのは、インドにおいてインディペンデント映画のプレゼンスを強め(インドでは映画=ボリウッドしか存在せず、インディペンデントはほぼないに等しいらしいのです)、また、デザインに対する意識を高くしたいということなのでした。だからCALFが呼ばれ、デザイン的に優れた日本作品が取り上げられるわけです。インド自体も衝撃的でした。国全体が「これからだ」という気運でした。昔の日本ももしかしたらこんな感じだったのかもしれません。イベント主催者たちはインドには未来の可能性があるから好きだと言っていました。自国を迷いなく好きだといえる若者に出会ったのも個人的にはここが最初だったので驚きました。アニメーションの学校がそこらじゅうにあるニューデリーの街を車で走りながら、しかし僕の頭のなかでは、韓国や中国でアニメーションを国策となったおかげでインディペンデント・シーンが意図せぬままに誕生したことが思い出されました。(産業の副産物としてのインディペンデント…実はどの国でも同じなんじゃないかと思ってます。アニメーションのインディペンデントは商業の副産物なのではないかと。)中国のインディペンデントシーンの充実をみて、次はインドなんじゃないかと少し思いました。(そういえばCALFのプレゼンには「私もCALFからDVDを出してほしい」という現地の美大の学生がいました。)

エストニアは旧共産圏において資本主義体制下で最もうまく伝統を保持できた国です。それは製作費の最大70%を国が負担してくれるというシステムがあるのに加え、ヨーニスフィルムにはロッテという国民的なキャラクターを擁する劇場版シリーズがあるからです。ロッテで稼いだ金をインディペンデント(映画祭向けと言っていましたが)作品に回すというサイクルがあるわけです。そしてインディペンデント作品については、採算を考えない。さらにエストニア美術大学でパルンとピッコフは後進を育てる…きちんとしたサイクルができあがっているわけです。もちろん問題はあります。ヨーニスフィルム以外のスタジオは立体部門のヌクフィルムも含め、資金繰りに苦労しているということ(市場がそもそも大きくないというのもあります)など。ヌクフィルムの監督やアニメーターたちの待遇はちょっとびっくりなレベルでした。一年中仕事があるわけではなく、「解散」している時期もあるそうです。アニメーテッド・ドリームスという映画祭に対する評価は結構難しく、審査員をやらせてもらったのでありがたく思ってはいますが、コンペみると学生やパノラマ作品が見れなかったり、みんなが帰った後にようやくエストニアのヤング作品をやるなどといった狂ったスケジュールの組み方はなんとかならんかなと。併設のアニマキャンパスは学生向けの講演&ワークショップイベントでしたが、こちらは個人的には結構面白かったです。旧ソ連圏の現状が知れたので(ソ連時代はモスクワの映画大学で勉強→自分の国の国営スタジオで製作というサイクルがあったのが、独立後はその伝統がぶったぎられ、アニメーション文化がかなり貧しいものになってしまうという共通点が中央アジアの旧共産圏には共通してあります)。

日本では学生CGコンテストの評価委員(一次選考をする人)をやらせてもらい、日本の学生作品の地殻変動を目の当たりにしました。わたくし語りでありながらわたくしを超越したりわたくしが消えてしまうほどのスケールを獲得していたり…日本のインディペンデント作品が最も苦手としていたドメスティックかつポップという作品のあり方を体現してしまったひらのりょう『ホリデイ』を始め、日本インディペンデントが新たなフェーズに進んだことを実感した一年でもありました。

つまり日本においてもドン・ハーツフェルトのような作家が登場しうるのではないかと予感したのです。新作が待ちきれず彼のツアー「ドン・ハーツフェルトの夕べ」@サンフランシスコに参加して、200弱のキャパですが一日二回の上映は満席になり入れない人もいる状況を目の当たりにして、身の丈にあった小さなマーケットを作り上げることは、インディペンデント・アニメーションにおいても可能なのではないかと改めて思ったわけです。ハーツフェルトの新作(つまりビル三部作の最終章)は、これまで以上に「アニメーションらしさ」から離れ、そして、「わたくし語り」からの完璧な離脱が成し遂げられていたという意味で、新しいアニメーションの姿を目撃した気がしました。

次のエントリでは、今年のベスト作品を書きます。ハーツフェルトの新作についても、少しだけ語ります。

土居

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