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        2010-12-30        2009-2010年ベスト(2):短編ii

引き続き今年印象に残った作品をピックアップしていきます。

『ルシア/ルイス』(クリストバル・レオン、ヨアキン・コチナ、ナイルズ・アタラー)
Lucia, Luis, (Cristobal Leon, Joaquin Cocina, Niles Atallah)


lucialuis

今年『わからないブタ』がグランプリを穫ったファントーシュの去年のグランプリが『ルシア』でした。それでウェブ上で作品を観てみたわけですが、かなりの戦慄でした。手法としてはもちろん見慣れたものの組み合わせだけれども、未知なる作品を観てしまった感じに襲われたのです。立体担当のレオン、木炭画担当のコチナ、カメラマンのアタラー、本来展示用に制作されたものでしたが、三人の専門領域が互いにハマりあって、非常に優れた立体アニメーションが出来上がりました。チリという個人的には未知の国からの作品だったのも興味深かったです。(現在レオンはアムステルダムにて制作を行っています。)少女ルシアと野人の少年ルイスの一夏の恋と悲劇的な結末が、両方の視点で語られます。少女の不安げな空想は、ともするとルイスの存在をルシアがひとつのファンタジックな出来事として捉えていることを想像させます。ルイスとは自分の空想の産物なのではないかと。しかしルイスは実在し、消えてしまったルシアに対して呪詛の言葉を投げつける。ウィスパーと怨念。微細でありながら情念に溢れた両者の声。そこにマッチする、立体アニメーションと木炭アニメーションの儚さ。グループワークによって書かれたという脚本は、意図的にtheyの存在を不確定にしてあり、不安感をさらに高めます。その後レオンは(広島でもコンペインした)The Smaller Roomという優れた小品を完成させ、今のところフェスティバル・シーンでは目立っていませんが、コチナもWeathervaneという湿り気のある木炭アニメーションを発表しています。(後者はパヴラートヴァのLailaを思わせるようなコミカルで残酷な小エピソードが重なっていくもので、かなり黒くてべちゃっとした強度があります。)『ルシア/ルイス』という作品だけでなく、作家たちのその後の活躍も含め、非常に印象に残った作品です。

Old Fangs, (Adrien Merigeau, Alan Holly)

oldfangs

今年のアヌシーで観て感銘を受けました。以前でいえば『マロット』、去年でいえば『スキゼン』の列にのっかるような、優れた短編物語映画としてのアニメーションの今年最良の例がこれだと思います。物語は単純で、ひとりの青年が、友人とともに、長いこと離れて暮らしていた父親に会いにいくというものです。かなり粗い作りの作品だと思います。しかし、それを補って余りあるほどの(粗さゆえの?)エモーションに満ちています。登場人物たちはもちろん、動物の皮をかぶった人間です。ノルシュテイン作品がそうであるように、ここにおいても、動物は常にもっともリアリティある人間表現として機能します。実写の使用が印象的です。父親の家のシーンにおけるサイズの誇張、記憶と現実が交差する場面、アニメーション表現だからこそ自然と行き来できる複数のリアリティ。この作品を観る者は、それを追っていくことで、深い、深い記憶の底へと引き込まれていきます。監督の二人組は、昨年話題になった長編The Secret of Kells(未だに観れていない!!)の制作に参加していたそうです。この作品も、その製作スタジオCartoon Saloonの支援を受けています。そういえばオライリーもダブリン時代にKellsのデザイナーかなにかをやっていたような。フランスのSacreblueと並んで、アニメーション界に新風を吹き込んでくれそうなこのスタジオには、引き続き注目していきたいです。

Red-end and the Seemingly Symbiotic Society
(Robin Noorda, Bethany de Forest)


redend

これもアヌシーで観ました。元々は去年のオタワのコンペに入るはずで、クリス・ロビンソンも「今年のナンバーワン」と絶賛していたのですが、どうも完成が間に合わなかったらしく、観ることができませんでした。そんなわけで非常に気になっていた作品だったわけですが、期待以上の面白さでした。なんというか、高密度の『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ』というか。そんなふうに思ってしまうのは、人形のぎこちない動かし方によるのでしょうけれども。物語としては、淡々と自分たちの日常業務をこなすアリなどの節足動物たちのなかに突如として現れてしまったひとりのユニークなアリを中心とするものなのですけれども、これはなんなのでしょう、風刺的なものにも思えないのですよね。ところどころにそう読み取れそうな要素も入ってくるのですが。それ以上に、ワクワクとして楽しい感じを受けます。すごくよくできたジオラマに見入ってしまうかのような。名状しがたい魅力を持った不思議な作品です。アヌシーの一度しか観れていないので、再見できたらきちんと書いてみたいと思っています。

冬至 The Winter Solstice (Xi Chen, Xu An)

winter

実際には去年のアヌシーで観ていた思うのですが、そのときはスルーしてしまっていました。今年の広島で印象に残っている方も多いであろうこの作品、中国のインディペンデント界に新たな動きが起こっていることを感じさせるものでありました。Animationsの読者の方なら誰もが思うであろうことーーあれ、これってコヴァリョフじゃない?という疑問。僕も広島にて当然ぶつけてみましたけど、苦笑しながらも強く影響を受けていることを認めてくれました。切り絵手法によるコヴァリョフですから、面白いですけど。(ちなみに次の日には記者会見でオットー・アルダーが同じ質問をしていて、苦笑がさらに強烈になってました。)Lei Leiがオタワで短編部門の最優秀賞を受賞したとき、彼は壇上にて中国はこれから面白くなると言っていました。彼の言葉に信憑性を与えるのが、この作品だと思います。これもまた『ルイス/ルシア』と同じように作品をめぐる状況・現象を含めて、興味深い例として記憶しておきたいものです。監督の片割れチェン・シーは、今年から始まった興味深い試みJAPICのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで1月から3月まで来日し、新作制作を行います。(そういえば、同プログラムで来日するJoseph PierceのA Family Portraitも興味深い作品のひとつでした。)

次のエントリでは学生作品で印象に残ったものをピックアップしていきます。

土居

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