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        2007-09-28        ICAF2007三日目

今日はICAF三回目。シンポジウムがあるせいか、午前中のプログラムから盛況でした。
とはいえ、僕自身は用事がうまいこと終わらず途中からしか見れませんでした。生活があるのですいません。

Eプログラムは"路上の王国"(河野宏樹)から見ました。アップに耐えうる人形の造形は素晴らしいですね。もうちょっと質感を重視してくれると良いのかなと思いました。とりあえず、音が映像に負けている。フィルムで撮ったらもっとよかったのでは?と思わされる部分も。ラストのメタ次元になった瞬間に画面から緊張感が消えてしまったのも残念です。

Fプログラムについては個々の作品に何らかの感慨を抱くというよりも、全体的な傾向として気になってしまうことについて反芻することが多かったです。それについては全プログラム終了後に書きます。"おはなしの花"(久保亜美香、久保精太)は非常にウェルメイドな作品。メディア芸術祭でご覧になった方も多いでしょう。あまりに出来が良すぎて身構えてしまう感じ。"ウシニチ"(一瀬皓コ)は本日一番の当たり。迷いがない単純な描線を引けるというだけですばらしい。最小限で最大限の効果。いくつものエピソードが少しずつ進展していって、一番謎だったエピソードに最後に行き着く。かなりの構成力。キャラクターも良い弾力を持っている。音の処理が弱い作品が多いなかで、きっちりと作り込めている。今後の作品も是非みてみたい。

シンポジウムは立ち見が出るほどの盛況。質問の中心となったのは学生時代の過ごし方と最近の学生作品についての感想。三人に共通する見識だったと言えるのは、最近の学生作品には内的な熟成が不足しているということでしょうか。パソコンでの制作が主流になったがゆえに、皆が小綺麗な作品を作れるようになったが、逆に試行錯誤や必然性というのが見えにくくなっている。山村浩二は「アイディア」、細田守は「物語(及び演出)」、寺田は「既存の名作のトレースから逃れること」という形で、それぞれ「見えないもの」「見えるようにする以前のもの」の重要性を説いていました。フィルム撮影とデジタル撮影との違いにその原因の一つは求めることができ、フィルムであれば現像までは自分の想像のなかで出来上がりを確かめるしかなく、それゆえに「神が宿ったり」「熟成されたり」「新たなアイディアが生まれたり」する。映像を脳内・体内に蓄えることの重要性。(フィッシンガーやバルトーシュは現像を行う前に出来上がりについて確信を持っていたという発言をしていた。バルトーシュは『観念』の30分、少しも現像しなかった!彼らのイメージの強固さ。これも作品として仕上がる前の試行錯誤の成果なのだろう。)デジタル制作だとプレビューすることができるのだが、それゆえに「完成に向かうことしかできない」(細田)というコメントが印象的でした。デジタルはフィルムと違って照明に気を遣わずともとりあえず撮れてしまう。頭の中のイメージが熟成される間もなく、そのまま排出できてしまう。それは必ずしもよいことではない。葛藤がない。シンポジウムでも上映された、寺田弘典が企画する「REMtv」は、内的なイメージをかたちにするための良いレッスンとして働いている印象でした。「自分にないテーマを探すのではなく、自分の中に潜むきちがいじみたイメージを探す作業」(寺田)。夢の内容は言葉で話すと面白さが伝わらない。しかし、見た本人は面白く感じている。それをかたちにするのにアニメーションは有効。どこが面白いと感じたか、それを選択する才能。続いて上映された山村浩二の最新作『カフカ 田舎医者』の予告編は、全体が「REMtv」な感じとも言えると山村浩二本人は言っていた。アニメーションと夢の近親性。山村浩二は内的なヴィジョンをアニメーションは共有させると常々言っている。細田守が「アニメーションは他のメディアに比べて"自分"が一番出る」と言っていたのも、同じようなことだろう。みなが同じことを語っている。つまり、耳を傾ける必要があるということ。

その後の懇親会では、Animationsのホームページをよくみてくれているという造形大の横田将士君と佐藤文郎君と少しお話ししました。こういう人たちがいてくれることが非常に嬉しいこと。彼らの作品も印象深いものでしたし。みなさんも「みてますよ」くらいでいいので一声かけてくれると嬉しいです。

ICAFはあと一日を残すのみ。あとは日曜日です。
ICAF公式ページ

明日・明後日とお茶の水のneoneo座(ここも短篇アニメーションをコンスタントに上映してくれる貴重な場所です)でアニメーション80の定例上映会があります。
neoneo座
アニメーション80

日曜(ICAFとかぶってる……)から火曜まではドイツ文化センターで「ザクセン州とアニメーションの情熱」というイベントがあります。

土居

コメント

(昨日のコメントの補足です)
”学生作品”と名付けられて上映されるものを見て思うのは、「美術作品」をつくることが義務である美術学生だからか、アニメーションを作るという前提があって、そのために後付けで作品世界が作られていると感じられるものが多いということです。
あと、それを作品として見せた人がどういう気持ちになるのか、ということもあまり想像されていないような気がします。エンターティメントになる必要はなくても、その作品が自分にとってどうでもいいものではないと、ちゃんと言えるものを作れているのでしょうか。
と、自戒をこめて書いておきます。

どうも「昨日のコメント」が投稿ミスしてしまったようです。
昨日書いたのは、このような上映会に行くと、アニメーションを作っているか、作りたい人しか観客としていないのが、閉塞的な雰囲気を作っているのではないか、もっと様々な観客に見られることで、作り手の意識も必然的に開かれたものになるのではないか、ということです。

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