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        2007-09-27        ICAF2007二日目

ICAF二日目。
午前中はLes e-magiciens 2006の優秀作品上映。
CG制作が盛んになってからというもの、工場(機械)と人間(有機物)という対立を描く作品が多くなってきた気がする。今回のICAFでもいくつか。"Bob"(Jean-Pierre Poirel)はそれをスタイリッシュに仕上げた作品。番号で管理される従業員。13013という番号がなにかのはずみでくっついてB0Bになる。すると自分の意識を取り戻す……という反ユートピア小説にありそうな(ロシアだとザミャーチン『われら』とか)設定があくまでオシャレに。他の人の番号はうまく名前になるわけではないので混乱が起きる。自由になったとしても所詮数字がアルファベットに変わったにすぎない。"Once Upon a Time"(Corentin Laplatte, Jerome Dernoncourt, Samuel Deroubaix)はジョン・フォード『駅馬車』の映像を使いながら展開するCGアニメーション。ヴァージル・ヴィドリッチの脅威の作品"Fast Film"の時にも思ったけれども、こういうのって著作権は問題にならないのでしょうか?"The Adventures of John and John"(William Bishop-Stephens)はローファイ感漂う雑種アニメーション。僕はこういうの好きです。ビデオ的なぬるぬるとした画質がしっかりマッチしている。パペットアニメーション部分はあまりにローファイすぎないかと思ったが脳内探検のパートはすごく力が抜けていてよい。このプログラムはあからさまにファンタジー色が強く無批判的に3Dな作品が多く辟易していたので2Dの魅力を活かしたこういう作品もあってほしい。おすすめです。

Cプログラムは京都精華大学と東京造形大学。"REMtv"(金子幸樹)もまたいい感じで力の抜けた、自分の見た夢をテーマにした小品集。宇宙規模・世界規模のスケールと日常のまぬけさのスケールが混濁するバランス感。鼻につくような感じがまったくなく、べちゃっとしていて良い。"東京オリンピック"(大槻知浩)は単なるパロディーに収まらない怪作。方法論としてのジャパニメーションをきちんとやれる学生作品はなかなか少ないのでは。個人的にはまったく好みでないけれども、ここまできちんとやっていればオッケーです。この疾走感。"いくえみの残像"(横田将士)は本日一番の当たり。実写の写真を使ったアニメーション。猫への愛の視線。誰もいない部屋に写真が積み重ねられていき(それがアニメーションとなる)、いつしかネコのオブジェができあがっている。アニメーションは過剰であるべき。どっぷりアニメーションに漬かっていない人だからこそできる作品で風通しもよい。この作品もまたビデオのぬるぬるの質感が気持ちいい。"光"(山田桃子)は丁寧なドローイング作品。光は触れるし飲める。正しい。だが、なにかちょっと惜しい。突き抜けるなにかがほしい。過剰でないからか?"聞耳『第二幕・鏡』"(中田彩郁)はこれまでの作品の丁寧さ・良い子さからの脱却のマグマが感じ取れる作品。過剰さへ一歩踏み出している。後半の平手打ちシーンの連続に震える。テーマのわりにはモノと人間との交感の感触が足りない気もするが、完成すればそれも解消されるだろうか。解消されればよりエモーショナルになるはず。"蒲公英の姉"(坂元友介)は、"電信柱のお母さん"をみた身にとってすれば、「なぜ人形?」と思ってしまう。僕はあまりパペットアニメーションの見方がまだよくわからないのだが、一つ言えることがあるとすれば、人形アニメーションにはオブジェを優しく見つめる視線が必要なのではないか。"The Adventures of John and John"の冒頭、オブジェをただ映しているだけなのに、心の中に何か温かいものが生まれてくる。この作品だと変な距離感があって道具としてしか使っていない印象だ。写真や図版など細かい作業をやっているのは偉いのだが、それよりも必要なのはモノとしての強度だろう。美術が全体的にアンバランスであるという印象を受けた。力のある人だと思うのでこちらの目も自然と厳しくなってしまう。

Dプログラムは大阪芸術大学と広島市立大学。"花とロボット"(監督:宮口友里)は彼岸アニメーション。ここではない、どこでもない、そこだけで完結した世界で出来事が起こっている印象。まるであの世のような。音楽もアナログチックな雑音を立てて寂しいメロディーを流しつづける。おそらく本人たちの意図とは異なるところで暴力的。"あそべのこ"(本田礼子)は生成アニメーション。個人的な好みとして、この分野であるだけで評価が甘くなってしまう。生成アニメーションがすばらしいのは、動きの質の部分が必然的に重要になってくるところだ。マクラレンの言う「いかに」の重要性。観念だけをかたちにして、それがいかに変容するかに気をつかわないこと作品が多いなかで、こういうやり方は貴重。"Up to Maestro"(西川剛弘)は海外の短篇みたい。こういう作品を作る日本の学生がいるとは思わなかった。"カタツムリンピック"(古山俊輔)はバカバカしくて良いけれども音が割れているし早口なのでよくわからなかった。会場の音環境がよくないというのもあるが、作り手の方でも音に気をつかっていない例が多い気がする。"Dream in the Dream"(杉殿育恵)は普通にオシャレで出来の良い切り絵アニメーション。だと思ったら最後にどんでん返し。女性が主人公だからまだいいけど、男や老人が主人公だったら違う意味を持ってしまって怖いと思う。"The goat's mail"(矢立恭)は互いの手紙を食べてしまうヤギさんという誰もが知っているあの歌をモチーフにして、独自のエンディングを加えている。原作の歌が持っているあの永遠の反復感を増す展開となっていて、少しぞっとしてしまう。これもまた直線的な時間の消滅した彼岸の世界のアニメーションだ。"迷走赤ずきん"(pecoraped)は"Dream in the Dream"の作者込みのユニット。これもまた出来の良い作品だが、赤ずきんの格好がスッと変わったり他の物語が流入してきたり、あらゆるものが過剰に降り注いできたり、一度みただけでは掴みきれない。ラストはパラレルワールドに次から次へと飛んでいく。どこまで狙ってやっているのだろう?天真爛漫さがあるから迷わされるのだけど、これ全部計算づくなんでしょうか?もしそうならかなりすごいと思うし女性ってこわいなとも思う。"TOMSON"は丁寧に作られたパペット・アニメーション。キモかわいい感じ?小ネタが丁寧。

学生作品はあらゆる範囲に広がっているので面白いといえば面白いけれども疲れるといえば疲れる。みなさんさまざまな想像力をお持ちなのですね。

明日は三日目、15:30からはシンポジウムがあります。10時から整理券配布だそうです。
ICAF公式ページ

土居

コメント

ICAFにきてくださってありがとうございました。
私は昨日の全プロブラムを見られなかったのですが、ひとつひとつの作品についてのコメントを読み、とても参考になりました。
それから私の作品にも触れてくださりありがとうございます。

私自身昨日久々に自分の作品を大画面で見て、とても刺激になりました。卒業して半年ほど経ち、自分の作品を見る目が少し変わったように感じます。
改めて早く完成させようと気持ちを引き締めましたよ。

「いくえみの残像」は東京造形大学のオープンキャンパスで見ましたが、最も印象に残った作品の一つでした。
作者はアニメーション専攻ではなく、映画専攻の方らしいのですが、そういう、専攻外の生徒の方がアニメーションである必然性を感じられる作品を作ることが多いように思います。
表現したいことがあり、そのためにはどのような表現方法が適しているのかを考え、結果アニメーションに至った、という作品は、やはり説得力があり好感が持てます。

REMtvの金子さんは本当に将来が楽しみな方ですね。作品を作り続けてほしいです。中田さんもそうだけど、やっぱり画力のある人は強いなあ。

今日、工芸大学の作品とシンポジウムを観に行く予定です。

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