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        2009-10-20        オタワインターナルアニメーションフェスティバル09(5)

ドンくんたちとの会食が終わり幸せな気持ちで寝て、
晴天のなか幸せな気持ちで起きると、
ある嬉しいメールが届いており今日も良いことが起こりそうな予感。

朝ご飯は毎日、メイン会場のバイタウン・シネマのそばにある24時間営業のスーパーマーケットで買った冷凍食品。アジア麺ばかり。

11:00~ 短編コンペ3
オタワは上映待ちのあいだにスクリーンで各プログラムの見所がスライドショー形式で映し出されるけれども、このプログラムで推されていたのはデイヴィッド・オライリー。今年の話題作のひとつであることは間違いない"Please Say Something"と、そのスタイルをベースにしたU2のPV"I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight"がこのコンペでは流れる。PSSについてはもう何度も言及しているのでいいとして(でも何度観てもやはりラストでは震えてしまう)、PVの方は観客が意識しない程度のカメラの動きによって情動をコントロールしていることに気付く。前半はずっと右(カメラが動いていないときでも、小さなレイヤーを動かしている)、それが左になると同時に、ドラマが展開しはじめる。オライリーとは実際に会って少々つるんだけれども、本当に頭が良い人間だと感じた。昔の作品は「若気の至り」的な要素が色濃く残っているけれども(彼のホームページで"Octocat"という作品を観てみてほしい……っていうかまだ24歳なんだから若いに決まってるけど)、PSSで完全に一皮むけた。今は長編を準備しているとのことで、アニメーションに新しい地平を切り開いてくれそうな予感がする。
このコンペの他の作品で気になったのは、たとえばThe Black Dog's Progress(Stephen Irwin)。でもこれも何回か語ったと思う。"The Bellows March"(Eric Dyer)。不勉強ながらこの作家のことは知らなかった。立体印刷を用いたゾートロープをデジタル技術でモンタージュした作品で、その未知の質感に圧倒された。大きなスクリーンにかぶりついて観る贅沢さをまた感じた(オタワのコンペイン作品にはそういうものが多い)。"Myth Lab"(Martha Colburn)。マーサ・コルバーンの作品は正直言って個人的にはあまりピンとこないけれども、作品全体の質が非常に高いので(アニメーションに対する考え方が違うので俺は接続しにくい)、他のどなたかに是非語ってもらいたいですよ。"The Terrible Thing of Alpha-9!!"(Jake Armstrong)。お尋ねものを退治しようとやってくる地球人とエイリアンの話。エイリアンの方はただ単に犬のように遊びたいだけなのに当然地球人の方はそうは捉えない。物語自体は他愛無いのだが、エイリアンの感情表現が良くできており、終わった後には切ない気分になる。学生作品ということを考えればたいしたものだと思う。"Gemeinschaft"(Ozlem Akin)はアヌシー以来の再見だが、やはり面白い。学生作品といえども、トップのレベルはとても高い。

13:00~ インターナショナル・ショーケース2
Partly Cloudy(Peter Son)は、『カールおじさんの空飛ぶ家』と併映されるピクサーの短編。こういうフェスティバルで他の作品と並んで観ると、改めてその異質さがわかる。映像自体が持っているテクスチャーというか重量というか、そのメジャー感が半端でない。今のピクサーは30年代のディズニーに比肩しうるほどにノリノリであるように思える。作品自体は、動物たちの赤ちゃんを作る雲とその赤ちゃんを運ぶコウノトリのお話。設定自体は嘘もいいところだけど、思わず没入してしまう。善意だけで成り立っている世界で、「シリーシンフォニー」シリーズの再来だ。日本人も大好きだろう、こういう世界は。ファミコン時代の格闘ゲームのグラフィック・スタイルとシステムである男の一生を描く"Consoul"(Lasse Gjertsen)は、途中まではものすごく面白かったのだけれども、一旦ゲームオーバーになってからは……惜しい作品だ。最後の三作品、レスチョフの新作、アヌシーでデビュー賞の"L'homme a la gordini"、カスパール・ヤンシスの新作は全部アヌシーで観ているのでパス。

14:00~ ドン・ハーツフェルト・サイン会
ハーツフェルトは、一つ前の作品で獲得した賞金やDVDの売り上げをそのまま次の作品の制作費(もちろん生活費も込み)にするというかたちでお金のやりくりをしており、今年の年末から二年間、"everything will be ok"シリーズの第三章の制作に没頭するとのことなので、貢献せねばと思ってサイン会へ。しかし人があまりに多すぎて断念。(俺はなんて中途半端なんだろう。)
オタワでの彼のプログラムはどちらとも裏にコンペのオフィシャル上映があって、会場も歩いて30分以上かかるところだったので、お客さんがそんなに多くなかった。だからちょっと悲しい思いをしていたのだけれども(北米での彼の人気を実感したかったので)、このサイン会場でようやくそれを感じることができた。前日の夜、「誰も来ないんじゃないかな?」って不安げにしていたので良かった。

15:00~ 短編コンペ5
小腹が空いたのでポップコーンのスモールサイズを頼んだら日本だったから確実にエクストララージのものが来て、全部食べたら気持ち悪くなって寒気がした。ラージを頼んだらいったいどうなるんだ?
日曜日ということもあって子ども連れが多く会場に。プログラム自体も「全年齢対象」と銘打っている。北米でそういうことをきちんと明記するくらいだから、相当安全な作品ばかりが集まっているのだろうと思ったら(最後が『ウォレスとグルミット』だし)、とんでもないものが一個混ざっていた。
Runaway(Cordell Baker)はアヌシー以来の再見だけれども、やはり本当に「エンターテインメント」している。そういうタイプの作品に基本的には懐疑的な俺でもこの作品には引き込まれる。きっちり作れるという意味で貴重な存在だよなあ。Man Up(Edward Barrett)はどこかで観たことあるんだけど思い出せない。現実に疲れ果てたクレーン技師がクレーンの上で生活を始めるが街の開発が彼の高さにまで追いついてきて、追いかけっこが始まり……というプロットが嫌らしくならないのは、かなり幾何学的なスタイルでキャラクターが描かれているからだろう。Vive la Rose(Bruce Alcock)はNFB伝統の「うたもの」のひとつ。湖畔の別荘(実写)にカメラが侵入し、机の引き出しを空けると、そのなかが三つの区画に分かれている。そのうちの一面にアニメーションが、一面に歌詞が、そしてもう一面にアニメーションの内容に関係するオブジェが置かれ、相互に関係しながら展開していく。影が落ちていく様子がよくわかるので、おそらく屋外で直接コマ撮り撮影しているのだろう。「エレガンス」という言葉はこういう作品のためにあるのだなあと思った(皮肉じゃないですよ)。『ウォレスとグルミット』については、このシリーズはそういえばパロディで成り立っているんだよなあ、ということを思い出した。
……で、例の問題作というのはKitchen Dimensions(Priit Tender)事前にスチルをみた限りではどんな作品になるのか想像がつかなかったけれども、観た後になってもまだ理解できない。画面に最初に映るのは台所にひとりたたずんで、料理をしている男。窓の向こうでは木々が風に揺らぎ、静寂が支配する。男は『愛の可能性について』のポルドマを思わせるようなフォルム(ただしスラッとしている)。タルコフスキー映画を思い出してしまうほどの画面の夢見がちな緊張感。(アニメーションでは久しく味わわなかったもの。)これからいったい何が起こるのかとドキドキしていると、男が小麦粉をこぼす。そしてパンをトースターに入れる。すると窓の外の木々が変化する。食卓の机が立ち上がり、踊り、男を飲み込む。頭のなかを????????????がかけめぐると、そこから先は驚くほどにゆったりとして壮大なメタモルフォーゼが起こっていく。口をあんぐりと空けてしまって啞然とした。なんだこれ、なんだこれ、と理解するための参照項を探す。ダンスだ。舞台上のダンスだ。モダン・ダンスだ(知らないから適当に言ってるけど)。でも全然高貴じゃないよ。だって踊っているの机だし。小麦粉だし。台所だし。フィッシンガーとか『ファンタジア』を思い出してしまうほどの水準のダンスが超大きな規模で展開し、机に飲み込まれた男の姿が戻ってきて、最初のシーンに戻ってきてトースターからパンが飛び出る。この前後のスケール感の違いがバカらしすぎる……
まとめましょう。この作品のシノプシスはこうです。男が小麦粉をこぼしつつパンを焼き、新聞を読み、コーヒーを飲む。それだけ。合計で三回のその壮大なシーンは、よく考えればそれぞれの行為を表現したものなのだな、と理解できる。日常の行為を宇宙スケールで解釈する。言葉にしてみれば簡単だ。でも、普通の人はこんなふうな想像を展開しないよ? エストニア人以外には不可能。プリート・テンダーはもはやパルン・フォロワーではない。パルンだってこんなものは作ったことがない。二つ目と三つ目の壮大パートがちょっと弱いのが残念だけれども、今までに観たことがないアニメーションであるのは確か。2008年制作ということだから、他のフェスにも出しているだろうけれども、これは評価しにくいかも。あまりにおかしいから。こういうとき、オタワというフェスがあって、クリス・ロビンソンという人間がいると助かる。(スピーチでも頻繁に用いられるほど、ロビンソン=エストニア・アニメーションという連想はこのフェスでは強い。)俺もきちんと言っておこう。これは傑作です。終わった後の客席の戸惑い具合が非常に面白かった。オフィシャル上映ではなかったので、お客さんが満員でなかったのが残念。オフィシャルのときはどんな雰囲気になったんだろう? ともあれ、でかいスクリーンで最初に体験できたのでよかった。

17:00~ カナディアン・ショーケース
カナダ作品のパノラマ。ヘラジカたちに絡まれる若者たちを描いた3DCG作品Xing(Michael Naphan)は、3DCGが得意とする動きの誇張表現を、誇張的なコメディの仕草としてうまく活用した良作。アニメーションでやったから面白いのであって、実写でやってもそんなに面白くないだろうな。Debt(Mike Weiss)はあまりに不思議すぎてなんといっていいのかわからない人形アニメーション。ちょっと調べてみたらcjaxでも上映されていた『落とし穴と振り子』を作った人か。う~ん……
ランドレスの『背骨』が始まったので会場を後にする。閉会式の場所まで歩いて45分かかるから。

19:00~ 閉会式
子ども用作品コンペに入っている『ぴったんこ!』の白川さんご一行を発見し、久しぶりに日本語を使ったら、あんまりうまく発音できなかった。使う筋肉が違うのだな。
閉会式も至極シンプル。クリス・ロビンソンのスピーチと受賞作品発表のみ。北米の人はスピーチで笑いを取り続けないと死んじゃうのかな?と思うくらいに笑わせようとする。観客からもすぐに間の手が入る。
受賞作品については各自で確認していただくとして、かなり順当だったと思う。ハーツフェルトのサイン会の会場にいたクリスさんと話したときにも、「今年の審査員はかなり正しい選択をしたと思う。でも笑えるよ。」と言ってた。「笑える」というのがどういうことなのか気になっていたけれども、今回の俺のオタワ生活に彩りを与えてくれたバスティアンの『マダガスカル』が観客賞、最優秀依頼大人向け作品賞、最優秀以来作品の三タイトルをゲットして、オライリーのPlease Say Somethingが最優秀物語短編を受賞してすごく嬉しかった。実際その価値はあると思うし。
なによりも素晴らしかったのが、長編の選外佳作にMy Dog Tulipが入り、Coralineが外れたこと。(クリスさんが「アヌシーとは違ってちゃんとしてるよ」と言ってたのはこのことだと思った。Coralineは質が高いけどグランプリを取れるような作品ではなかった。)
そして、短編ナラティブの佳作にKitchen Dimentionが入ったこと。これは最高に嬉しかった。
今年の短編の審査員は、スーザン・ピット、ジム・ブラッシュフィールドに加え、このブログでも何度か紹介しているCartoon Brewという有名ブログの管理人、アミッド・アミディ。彼は俺にとってクリスさんと並んで信頼できる情報源の一人で、アカデミー賞のセレクションに対するコメントについてはこのブログでも前に紹介したことがある。だからきっと良いセレクトをしてくれるに違いないと信じていた。その期待に応えてもらえて(勝手な期待だけど)嬉しい。でもよく考えたら、ブロガーに審査員をやらせているわけだから、やはりオタワは変わっている。
ただ、短編のグランプリにはびっくりした……クリスさんが言ってた「面白いよ」というのはこれのことか。うーん……(会場もびっくりして凍り付いてました。)

クロージング・パーティーでは何人かの人に挨拶して、そこそこしゃべって、でもDJの音があまりにも大きかったので声が枯れてきて、ドンくんたちからも「体調が悪いから行けない」という連絡があったので、引き上げた(大事な話があったんだけどなあ)。オットー・アルダー(良い人)とデイヴィッド・オライリー(良いヤツ)とは12月の会議で再開する約束をしつつ。オライリーについては、Please Say Somethingの日本語字幕をつけてあげる約束もしつつ……

おしまい!


土居

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