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        2009-09-10        Don Hertzfeldt, "I'm So Proud of You" (2008)について

最初に大げさな話をしておくと、なんで頼まれもしないのに(最近は頼まれることもあって嬉しいですが)アニメーションについていろいろと書いているかといえば、それは何よりも自分が物事について考えたいからであって、僕自身にとってその端緒となったのがノルシュテインの『話の話』だったから、ということです。だからぶっちゃけたことを言えば「アニメーション界のために」とかそんなことについてはあまり直接的に考えることはないんです。こんなにすごくてこんなに切実な作品があるのに全然話題になっていないのはどういうことだ?というところから、アニメーション界のことについて考えるところに辿り着くというのが正しい順序です。自分が感じた興奮をみなさんにも共有してもらいたいというエゴまるだしの欲望こそが、根本にあるわけです。

そういった立ち位置からアニメーションに対してアプローチしている人間ですから、人類がおそらくはるか昔から切実な問題として考えつづけている普遍性のあるテーマに対して、ある種の必然性を備えて、現代性とオリジナリティを携えてぶつかっているような作品と出会うと、それはもう本当に嬉しいです。アニメーションにおいてそういう作品が作られていることを知ると、アニメーションというメディアには現代的な可能性が存分にあるのだと改めて気付かされます。

前置きが長くなりましたが、ドン・ハーツフェルドの新作、"I'm So Proud of You"のシングルDVDが届きました。(タイトルを日本語で訳してみると、軽いネタバレになってしまうので、白で書いておきます――私はあなたのことを誇りに思っていますからね

とりあえず二回観ましたが、はっきりいって途方もない衝撃で、心がぐちゃぐちゃになって、秩序を取り戻してくれないので、作品自体についてはちゃんと書けません。はっと息を呑み、頭を抱えました。この22分の作品、これまで以上にナレーションの量が多く、語りのスピードも速いので、ネイティブでない人にとっては、一回や二回で理解するのは相当難しいかもしれません。エピソードも断片的でいろいろと混じりあっています。

"I'm So Proud of You"はビルという平凡な男を主人公とした三部作の第二章です。第一章である"everything will be ok"は、大病に冒されたビルの日常の破壊と再生の物語でした。第二章は厳密にその続編で、病気から回復したあとのビルの日常生活の話と並行して(混じりあって)、ビルの(ある意味で)「呪われた」家系が想起されていきます。

この作品ではっきりとしたことがあります。ハーツフェルドは、人間であることに埋め込まれてしまって逃れることができない運命や必然性をテーマに作品を作っています。"Billy's Balloon"から一気に表面上に浮きだしてきたテーマです。

クリス・ロビンソンはこの作品をオタワで観て、フェスティバル・ディレクターであるにも関わらず、コンペ後のパーティーに参加せずホテルの部屋にこもってしまったそうです。「とにかくひとりになる必要があった」と。それが正当な反応だったということを、作品を実際に観てようやく実感できました。人間であることによって逃れることができなくなる運命のひとつ、人間は本質的に一人であるということを、この作品は大きなテーマとするからです。

運命の一つ、死の匂いも強く漂います。実際、この作品は死の連鎖で彩られます。恐ろしいほどの強烈な力です。時間の話も出てきます。「すべては一瞬で起こっていて、時間軸の一直線上に並んでいるこの順番は偶然でしかないんじゃないか」という物理学の本で読んだ仮説を、ビルは語ります。それならば本当はあらゆる時間に属する光景は一挙に訪れているはずで、その様子は、アニメーションであれば表現できます。特にハーツフェルドのスプリットスクリーンのやり方とは非常に相性がいいでしょう。(そういえば、過去、現在、未来、時間軸上にあるすべてが一挙に飛来する場所というのは、夢であり、死ぬ前の走馬灯なんじゃないでしょうか。そのどちらもが、今回の作品では重要になってきます。いつも以上に充実しているDVDの「おまけ」パートをみるに、第三章は、ビルが死ぬ前に体験する走馬灯の世界になるんじゃないかと思ってしまいます。そこで彼はあらゆる時間に出会うのではないでしょうか。)

脳に病気を負ってしまう男を主人公としながら、彼の体験する内的世界の変容が、大多数の健康なひとたちにとっても切実なものとして響くのは、人間が本質的に、世界をそれぞれ勝手にメタファーとして変容させて理解し生きているからではないでしょうか。それこそアニメーションを作るようにして、人間それぞれが、それぞれの内的世界に生きているからはないでしょうか。

アニメーションは、そういった内的世界が持つ真実性の感覚を、具体的にかたちにして提示することができます。前作以上に内的世界へとずぶりと沈み込んでいく"I'm So Proud of You"は、アニメーションのそんな性質がなければ決して成立しえない、極めてアニメーションらしいアニメーション作品です。

この作品の基本的なトーンは、すべては決まっているんじゃないかという想像力が付随させる、残酷さです。残酷な運命を知るとき、世界のすべては残酷さで貫かれているように思えてしまうでしょう。でも逆に、世界が穏やかな面持ちをみせるときには、世界がふりかざす運命は穏やかなものとして感じられることにもなるでしょう。この作品には、そちらの側面もあります。

"I'm So Proud of You"は、アニメーションってなんなのだろうという問いに対するひとつの思考過程を開示してくれるとともに、生きることってなんなのだろう、この世界ってなんなのだろう、という問いに対しても、ひとつの考え方を示してくれる作品です。

荒れた文章で、断片的になってしまいました。

とりあえず、観てみてください。
(伝統的なアニメーションフェスティバルではあまり歓待されていない作家なので、
広島で観れるかどうかは怪しいですよ。)

DVDは公式ホームページにて購入可能です。
今ならORANGEといれれば10%オフになるようです。

土居

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