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        2008-12-31        僕らは内臓のことも宇宙のことも夢見る生き物――ドン・ハーツフェルドについて(1)

 2008年を締めくくるにあたって、ドン・ハーツフェルドという作家を「発見」できたのは非常に勇気の湧くことだと言えます。DVDが届いて以来、彼の作品や発言にトリコじかけの明け暮れです。"everything will be ok"という作品は鑑賞回数を重ねて次第に内容が把握できるようになるにつれ、どんどん良くなっていきます。涙の数が増えていきます。個人的には、『話の話』や『ストリート』、『ある一日のはじまり』、『ミルク』などといった作品から受け取ったショックと近いところに位置しているかもしれないです。とにかく唖然とします。ここには「なにか」がある。
 みなさん、この円高のうちに、とりあえず彼のDVDを買いましょうよ。bitter filmsというところで売ってますから。こういうところにお金を惜しんじゃいけない。好き嫌いはあるでしょうが(個人的には好き嫌いを超えたレベルに到達していると思いますけど)、彼の作品がアメリカで絶大な人気を誇り、新作"I'm so proud of you"の上映ツアーはすべてソールド・アウト、彼自身、アニメーション作家で自分の作りたい作品だけ作ってそれでもなお副業なしで生計を立てることができている、インディペンデント・アニメーション界の一種のロールモデルを直に体験しましょう。ぶっちゃけyoutubeとかでも作品は観れますよ。でもDVDで観ると全然ちがうんですよ。画質も音質も非常に良いし、映像特典(メイキングやオーディオ・コメンタリー)も映像資料(100ページを超える制作ノート)もものすごくたくさん入っています。(DVDも自主生産みたいですが、「徹底的」であることがテーマだったらしいです。DVD-Rに作品だけぶっこむような、やっつけ仕事ではないんです。)
 ノルシュテイン・インタビューの作業と平行して(もうすぐ中編をアップします)ドンくんのインタビューも読んでいますが、「ミスター正解」とでも名付けたいくらいの至言の数々に痺れます。ノルシュテインの言葉にも負けていないかもしれない。(実際、ノルシュテイン本『草上の雪』に書いてあるのと同じことが書いてあったりする。)
 とにかく彼は本物です。そんなわけで、今年最後のエントリとしてドンくんについて少し書きはじめてみました。2~3回に分けてアップします。(一気にやろうかとも思ったんですが、最近目眩がひどくて……パソコンの画面を見続けるのに限界があるんです。)
 とりあえず彼は本物です。彼を通じて、インディペンデント・アニメーションをめぐる状況をもっと活性化できるかもしれない。そんな希望さえ抱かせてくれる作家が、同年代にいたことを喜びながら、良いお年を、と手を振っておきます。

土居


ーーー

○僕らは内臓のことも宇宙のことも夢見る生き物――ドン・ハーツフェルドについて(1)

 彼にきちんと注目するようになったのはクリス・ロビンソンが"i'm so proud of you"を今年のベスト1に選んだからだというのはまず認めないといけない。だが「一応チェックしとくか」というあまり気の進まない作業の一環だったことも認めないといけない。クリス・ロビンソンの好みというのは、もちろん一貫しているのだが、逆に北米文化を共有していない人間にとっては時にわかりにくいことがあるから。去年のオタワで山村さんがハーツフェルドの"Everything will be ok"のちょっとしたレポートを「文化の違いで笑いが阻害される」というようなかたちで書いており、実際、その当時youtubeで二、三作彼の作品を観てみたけれども、たしかにそれを覆すような印象は俺も受けなかった。今では何を観たのかも覚えていないし、特にきちんと調べようともしなかった。youtubeでの受け方を観て、調子に乗った若者が観客にゴマするようにしてなれ合いの作品を作っているのだと思い込んでいた。内容も暴力的なものばかりで、そこには特に何の信念があるようにも感じられなかった。
 しかしどうも彼の作品は"The Meaning of Life"という作品で大きく変わったらしいという評判を聞いた。"Everything will be ok"という作品は涙を流させるような作品らしい。タイトルは確かに素敵だ。だがしかし日本でも巷に溢れる「大丈夫だから!」みたいな根拠のない応援ソング的なものだとも受け取れる。微妙なところだ……

 まあとにかく、そんなこんなでDVDの到着を楽しみに待っていたわけだ。初期作品集と、everything will be okのシングルDVDが届いたので、早速"everything will be ok"の方をデッキに挿入。

 17分後、俺は頭を抱えてしまった。
 早口のナレーションがかぶさり、そのナレーションにさらに効果音がかぶさり、聞き取りにくいったらありゃしない。だから物語の内容は全然把握できなかった。グラフィックから判断できるのは、日常的な「あるある」ネタを使いながら、日常生活の深遠な側面(むしろ本質か)に届こうとしているのだろうなということだけ。すばらしいチャレンジだ。
 しかし一回目の鑑賞で何よりも驚かされたのは、音楽の使い方。音の鳴り方に驚いた。BGMというよりも、誰かの頭のなかでこびりつくようにして通底音を鳴らしているような音の使い方。それゆえにときおりバランスを欠いたかのように全面に出てきて、ナレーションをつぶしてしまう。アニメーションでこういう音の使い方をする人は例外なく素晴らしい作品を作るものだ。意識の濃淡を表現するような音楽の使い方。
 頭を抱えたのは、これほどの大衆性を獲得している短編アニメーション作品が、これほどまでに素晴らしいものであっていいのか、という衝撃ゆえのことだ。短編アニメーションにこんな可能性を開示してくれる作家がいるなんて、こういうタイプの作家がいるなんて、予想もしていなかった。コンテンポラリーでめぼしい作家はもう全部チェック済みだと高慢にも思ってしまっていたのだ。
 とにかくラスト・シーンにやられてしまった。マルチスクリーンで、真ん中に主人公がいる。周りには実写の雨の映像を映した小さなスクリーンがいくつもある。主人公はその雨をじっと見つめる。雨の音が大きくなる。音楽も大きくなる。そしてある瞬間に、主人公の男の乗ったバスは出発し、彼の姿は消える。作品は終わる。それだけ。モノローグもナレーションも何もない。でも、主人公の男に、これらの雨が新鮮な感覚を持って知覚されていたことが「わかる」。彼にとって日常が突如として新鮮でいとおしむべきものに変容したことを身体で理解したのだ……
 心の底から感激したので、この調子だと彼に関するあらゆるものが素晴らしく思えてしまうのではないかと考え、もう一枚の初期作品集は後日にとっておくことにした。しかし、こちらの方にはさらに驚かされることになったのだった。

(2)に続く>

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