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        2008-04-13        "Monster Road"(Brett Ingram)

ブルース・ビックフォードのドキュメンタリーです。一個前のエントリであんな能天気な駄文を書き散らしていたことを後悔しています。

この映画は確かにビックフォードをフィーチャーしたものですが、
アニメーターとしてのビックフォードを取り上げるというよりも、
たまたまアニメーターであった人物を取り上げた、というような印象を持ってしまいます。
ビックフォードが語られる際には必ずといっていいほどつきまとうフランク・ザッパという名前も、
この映画ではたった一度、本人の口からぽろりとこぼれ落ちるのみ。
もしかしたら権利問題がいろいろとややこしいがゆえに、
ザッパ関連のことは削られたのかもしれませんが、
そういった些細な情報は、この映画には必要ないことも確かです。

人間ってなんなのだろう、生きるってなんなのだろう、善い人生とはなんなのだろう、
そんなことをよく悩んでしまう人、そんなことをより真剣に考えたい人は、
彼のアニメーション作品に興味あるなし関係なく、是非観てください。
DVDには字幕がついていませんが、何言ってるかわからなくても、
なにか途方もない映画であることは絶対にわかります。
かなり凝縮された80分間です。
人間の業というものを考えさせられます。

この映画にはブルース・ビックフォードと並ぶ主要人物がいて、
それは父親のジョージ・ビックフォードです。
(おそらく父親の方が、観客の記憶には強く残ることとなるでしょう。)
ヤン・シュヴァンクマイエルと激似のこの父親は、
アルツハイマーの初期症状を示していて、
本人はそれに立ち向かわねばならない運命にあります。
死を異様に恐れ、若くあることを熱望します。
最もスマートな人間でなければならない、ひとかどの人物にならねばならない、
といった強迫観念に悩まされ、
部屋の中には大統領のポスターがたくさん貼ってあります。

この映画で語られるのは、ビックフォード一家の生と死についてであり、
ブルースの末の弟の自殺や、離婚した母親の死など、
この親子二人が生きてきた残酷な運命が、強く印象に残ります。

もちろんブルースの方も生に対する欲望は異様なまでで、
120歳まで生きた中国人が飲んでいたという薬草のお茶を、
ブルースはがぶ飲みしつづけます。
彼の作品から受ける熱い生の鼓動は、同じエネルギーに端を発するものであるにしても、
ここでは完全に違った印象を与えることでしょう。

彼の作品には小さな人間がたくさん出てきます。
(彼は自分の作品に使ったセットや人形の断片をすべて仕事場に保存していて、
その映像もとてもおぞましい印象。)
彼らは横に手を広げています。
その姿は、いろいろなシーンを想像させます。
銃で撃たれた人は手を広げます。
ばたりと倒れた人間が一番死体らしく見えるのは(一番力が抜けているようにみえるのは)
横に手を広げて倒れているときでしょう。
手を広げることは、死への服従に近い。
おそらく、その格好は人間の身体のメカニズムにとって一番自然な姿勢なのでしょう。
ブルースの作品では、小さい人たちは残酷な運命に抵抗できずにばたばたと、本当にばたばたと死んでいきます。
選択の余地なく。

だが一方で、ブルースの生に対する執着は、手を広げることがもたらすそれとは逆の性格にもつながってくるような気がします。
手を広げることは無防備ですが、捨て身であるようにも思えるわけです。
死が存在することを、あらゆる人に一様に訪れることも、知っている。
それでも抵抗する人間の姿を現しているように思えるのです。
手を広げならが、「ほら、運命よ、殺してみろ」、と、ひたりひたりと近づいていくような姿。

「200歳まで生きる男の存在を信じるかい?信じないだろ?俺は信じるんだ。」
そんなブルースの台詞で、この映画は終わります。
彼は毎日木に登り、火を振り回し、鉄棒をぐるぐる回ります。
すべては健康のため。懸命に死を遠ざけようとする。
あたかもそれは、死を殺そうとするような試み。
もちろんその試みは、いつか失敗に終わるのでしょうが。

DVDには削除されたシーンも入っていて、そこである人物が語っているように、
ブルースの作品は、ものすごくスピーディーな展開なので、
あたかも数日で作られたかのようにも思えますが、
ドキュメンタリーを観ればわかるように、数年にも及ぶ作業なわけです。
そのことを頭にいれたうえで、再び彼の作品を観てみれば、
アニメーションというものが、
一瞬のうちにどれだけの生を凝縮しているかということに嫌でも気付いてきます。
実際に流れる時間と、制作の時間は、どれだけかけ離れていることか。
ブルース・ビックフォードの作品だからこそ、余計に感じてしまうのかもしれませんが。

とにかく、恐るべきドキュメンタリーです。
日本盤出ないでしょうか。日本で公開しないでしょうか。

"Monster Road"公式サイト(予告編及び抜粋の視聴可、DVD購入可)

ザッパ関連のDVDは、日本盤が出ています。
フランク・ザッパ『ダブ・ルーム・スペシャル』[Amazon]
フランク・ザッパ『ベイビー・スネイクス』[Amazon]

土居

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