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        2010-03-31        アート・アニメーションのちいさな学校第一期生卒業制作展

藝大大学院が一期生の修了制作を送り出している裏で、阿佐ヶ谷のアート・アニメーションのちいさな学校でも三年間の成果が発表されていました。TOKYO ANIMA!とハシゴして行ってきました。感想を簡単に言えば、非常に独特な作品が多かったです。アート・アニメーションっていうのが何なのかはいまだによくわかりませんが、美大からは決して生まれてこなさそうな、(良い意味で)いびつな作品が目立ちました。ある意味で、ロシアやエストニアのようなユートピア的時間感覚がありました。中央線文化も感じました。

一般の美大の卒業制作展と何が一番違ったかと言えば、エロかったことです。具体的に言えば、『蛇が泣く』(青柳清美)、『境目のある世界』(高野真)なんかはモロでした。TOKYO ANIMAでいえば、近藤聡乃がギリギリひっかかってくる領域を、こちらはモロに攻めてきました。それが非常に新鮮でした。非常に湿度の高い官能性をアニメーションで久しぶりに味わった気がします。

他にも、以前はラギオニ的な世界を現出させていた吉野直子は今回の『END ROLL』にてトイレットペーパー版『ディアロゴス』とでもいえそうな作品を展開していたり、以前『無人島ショートショート』にて久里洋二/ヒトルーク的世界を現出させていた小田文子は今回の『朝のU(うつわ)』にてノルシュテイン/キャロライン・リーフのリズム感で直球に攻めていたり、意外な振れ幅もありました。(『朝のU(うつわ)』の前半部分はあまり観たことのない映像になっていました。どうなっていたんだろう?)そして人形アニメーションはやはり基本的にしっかりとしていましたね。(しかし、一番面白いし良くできてると思ったのは実はオープニングの『ALICE in WONDER ASAGAYA』でした。)

はっきりと違う方向へと走り出しているちいさな学校、これからも独自の進化を遂げてほしいと切に願います。

土居
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        2010-03-30        TOKYO ANIMA!は素晴らしかったです(2)

(ちょびっと特殊な)一観客としてTOKYO ANIMA!の各作品で感じとったことを記しておきます。

先日TAFFに参加して少しホッとしたのは、自分では絶対に選ばない作品が選ばれて上映されていることでした。それがなぜ安心につながるかというと、僕とは異なる見方によってこの種のアニメーションに接している(違った評価軸で判断している)方が存在することを確認できるからです。個人の評価軸は決して全体を代替することはできません。いくつもの軸が重なりあってようやく全体像が見えてくるものです。だからこそ、自分とは異なる軸と交差できることは、安心につながってきます。貫いているところがまったく違う軸とはそもそも対話が成立しないわけですが、一部でも重なりあっていると、その創造的衝突によって僕自身の世界も広がっていきます。

TOKYO ANIMAもそういった種の広がりをもたらしてくれる一つの例となりました。

もう何度も何度も観ている作品が、上映の並び順によって違った顔をみせることがありました。
大勢の観客の前で上映されることによって「生きる」作品がありました。
知った作家の新作もありました。
これまで存在は知っていても、きちんと腰を据えて作品を観たことがなかった作家がいました。
自分のマッピングのなかにまったく入っていなかった作家の作品がありました。
僕のなかのインディペンデント・アニメーション感が、活性化され、より強固なものになっていったわけです。

僕がこういった上映会で何を一番考えるのか。それは、自分はなぜこの作品には引っかかるのにあの作品にはひっかからないのか、ということです。そして、引っかかるのなら何がひっかかるのか、引っかからなかったりいけすかなかったりするとその作品のなかの何が自分にそう思わせるのかとさらに考えを進めることになります。その際には周りのお客さんの反応もうかがい、自分の反応との差異からまた思考を進ませていくわけですけど。

では僕にとってのひっかかり基準は何なのか。具体的な作品の話をする前にそこのところをちょっと言っておきたいのですけれども、もともとがノルシュテインの『話の話』に文字通りの衝撃を受けたところからこの世界に入り込んでしまった人間である僕がここに何を一番求めているかといえば、異質なものです。異質であり、なおかつ、これまでの自分になんらかのヒビを入れてくれて、なんらかの覚醒や抵抗を与えるものです。言い換えれば、オルタナティブでありながら、それ自体としてのロジックがきちんと成立しているものです。

利益を出すことなど考えることなく作り得るはずのインディペンデント短編というメディアは、そういったものができやすいはずなんです。そういったものに出会うとき、僕は個の表現が持ちうる強さを実感します。基本的に、サバイブするための方法論を学ぶことを求めていると言っていいと思います。所与のものではない選択肢を増やすための。

前置きが長かったですが、そんな人間が眺めたTOKYO ANIMA!のいくつかの作品への感想です。

今回『Orchestra』を久しぶりに観て改めて感銘を受けたのですが、それが何に起因するかといえば、同時代性だとか観客へのサービスだとか物語を語ることだとかそういったことには目もくれずに、ひたすら美的な基準でものを考えていることなんじゃないかと思いました。本人たちの気持ちが実際にどうなのかは知りませんが、「アクチュアリティ? 知るかボケ、ただこのクネクネした絵を動かしたいんじゃ」とでもいうような態度が基本に埋まっているような気がしたわけです。(作品内ロジックの貫徹は結果的に観客への感銘へとつながっていくわけで、そこらへんが面白いところですけれども。)いくつかのシーンでは、クラシックな風格さえも帯びた絶対的な強度を獲得できてしまっているのは、そこらへんが原因なのではないかと思うわけです。非情なる割り切り。今回は上映されていませんが、『Orchestra』三人組のひとり大川原亮『アニマルダンス』のすばらしさもそこらへんにあるのでは。(そういった点からすると、彼の新作『Walls』は、どのラインを突っ走りたいのかが不明瞭で非常に手ぬるく思えました。単なるビジュアルの実験、もしくはオシャレ映像化とでも捉えてしまえるような。)三人組のひとり奥田昌輝『くちゃお』は、前半が少々弱く停滞したように感じられたのと子供の歌の力が映像に負けているように感じられた点を除けば、そこらへんの割り切りが非常に明確で素晴らしかったです。

腰を据えてきちんと作品をみるのが初めてだった稲葉卓也『KURO』は、水江未来がtwitterでつぶやいていたとおり、まさに和製イワン・マクシーモフであり、非常に印象深かったです。もちろん、マクシーモフに似ているから素晴らしい、と言っているわけではまったくなく、マクシーモフが代表例として体現し突き詰めているアニメーションのありうべきひとつの方向性が、この作品でもきちんと掴み取られていることが素晴らしいんです。反復の動作のうちに生きる、自意識を持っているように思えない動物たち。いや、自意識は持っているけれども、自分を揺り動かしているものへの疑問感が薄いキャラクターたち。自分の外の世界やキャラクターに自分が及ぼす影響についてそれほど深く考えない動物の愛おしさ。個人的にはアコーディオン犬がツボでした。主人公(?)の彼(?)がなんとなく好奇心を抱いて向かった先が背景もない真っ白なところだったのも良かったです。

レッドプログラムにてそのひとつ前に上映されていた橋本新『葬儀屋と犬』にも結構驚かされました。ちょっとトッカフォンドが入ったエリザベス・ホッブスというか。この方の過去作品も一応観たことがありましたが、正直それほど印象には残っていませんでした。しかし今回は非常に濃密にアニメーションしていた印象です。『くちゃお』同様の突き放し感・ハッタリ感がビンビンに効いていた印象。アニメーションのクリシェを徹底的に意識して、弄び、逸脱させて、ダイナミズムが生まれるくらいに無意味化している作業がとても気持ちよかったです。

ブループログラムでは一瀬皓コから細川晋までの並びがかなり印象的でした。

一瀬皓コ『two tea two』ははっきりいってなんのことやらまったくわからず、しかし異様な恐ろしさを感じました。目を覚まし、カフェで紅茶を飲み、分身と出会う。とても単純な筋であるように思えつつ、しかしそこには回収しきれない何かもあるような。『ハピー』に感じる空恐ろしさに近いかもしれない。『two tea two』については何のことやらさっぱりわからないので完全誤読している可能性もありますが、主人公とその外の世界が描かれていながら、主人公の方は独自のロジックで暮らしていて、その他の世界のことなど微塵にも気にかけていないような、世界との調和などひとかけらも気にしていないような、徹底的な齟齬や断絶があるような、しかしそのズレこそが本当のところなのでは、というそんな恐ろしさを感じます。(パルンの新作と響きあっている気がします。ハーツフェルトの方とも。)『ウシニチ』で一躍脚光を浴びるようになった彼女ですが、ハッピーエンドでまるく収まるあの作品はむしろこの作家の本質からは外れたところにあるのかもしれないと最近思うようになりました。来るべき未完の作品は『cosmic!』というタイトルですが、まさにcosmicなスケールを呼び寄せる可能性のある作家なのかもしれない、と言ったら言いすぎでしょうか。まあいいです。大げさな物言いが好きなんです。

細川晋『新作(仮)』は、現在制作中の5分程度の音無し映像だったわけですが、かなり風通しの良い場所に足を踏み入れつつあるような印象を受けました。なぜか日本の若手の作家の人形アニメーションは非常に内向的な方向性に行きがちな印象がありますが、これまでの人形アニメーションのさまざまな遺産を吸収されながら、根拠ある寓話性を備えた物語が真摯に語られようとしているのじゃないかという予感がしました。

大山慶『HAND SOAP』にはこれまで何度も言及していますが、今日の鑑賞でまた違った印象を抱くこととなりました。僕も昔ムサビのイメージライブラリーの機関誌に「生を凝視する」というタイトルで作家論を寄稿したことがありましたし、先日のアップリンクでの上映イベントのレポートでも「見つめるアニメーション」みたいな感じで紹介されていましたが、『HAND SOAP』の世界はコラージュによって質感は実に豊かですが、まったくもって触覚的ではなく真に視覚的なものなのだと改めて実感した次第です。恐ろしいほどに「見る」だけの世界。もちろん登場人物たちはいろいろなものに触ってはいるわけですが、あたかも外界に対する触覚的な関係の仕方を忘れてしまったかのように思えてしまいます。手を執拗にごしごしと洗うところもそうですし、セックスをしたとしても、両親たちの肉体の熱さは感じられず、ニキビだらけのガサガサの肌や、もしかすると黒電話と同じくらいに「死んだ感じ」「単に塊としてしかない感じ」があって恐ろしいです。この作品が描いている触覚性は、視覚を媒介にして想像される範囲内のものでしかないような気がします。(そして、そんな感覚が異様にリアルに感じられもします。)だからこそ最後の冷たい外気のリアルな触覚性や視覚を一時的に喪失させるような真っ白な朝の光によってちょっとした変容がもたらされるわけですが。

唐突なことを言います。
出来事や世界は自分に関係なくただ外側で起きている。それに対してどう反応するか。とても抽象的な物言いですが、どうもそこらへんが問題になってくるんじゃないでしょうか。『HAND SOAP』の認識する世界もそんなモデルなんじゃないでしょうか。そこらにごろりごろりとした異物たちがいて、それらと関係を結べたり結べなかったり。(マクシーモフ的世界観も実は……)主人公である「私」が変容することによって世界中が変わってしまうような作品がよくありますが(ディズニーに祖型があるような)、それだともうリアルじゃないというか。周囲と結ぶ関係性によって、「私」はかろうじて変容する。でも、周囲自体は別に何も変わるわけではない。しかし、周囲の見え方と自分のあり方が変わる。

加藤久仁生『雪』という小品を観て思ったのは、アニメーションにおける私と世界とのこのふたつの距離感についてでした。『つみきのいえ』についてはいろいろと言葉を費やしました。今から読みなおすと適切でなかった言葉遣いをしているところも多いです。しかし、『HAND SOAP』に続いて上映された新作の『雪』を観て、自分が明確にしようとしていた違和感がどんなものであったのか、少しはっきりとしてきた気がしてきました。『つみきのいえ』は、記憶の海へと潜っていく舞台装置に代表されるように、まさに「私」の世界でしかなかったと思います。もちろん、主人公以外が建てている建物もありましたが、それは単なる書き割りの虚像にしか見えませんでした。そこには「私」しかおらず、観客も含めてただ自分の世界を追認して終わるだけ。そんなふうに思えたので僕は違和感を感じたんだと思います。抵抗も覚醒も変容もなにもないと。しかし、『雪』は違うように思います。酔いどれた雪の街の断片的なスケッチは、自分とは異なる人たちの動きを(言ってしまえばマクシーモフ的に)自律してごろごろとした異物として捉えていく。そこから色とりどりの感情が生起してくる。個人的には、世界に対するこのような距離感を支持します。

土曜日の作家紹介の際、壇上に上がった和田淳は『そういう眼鏡』について、なんでやろと疑問に抱きながらもそういうこともあるよな、となんとなく納得することがあると思うんですが、そんなことを描きました、みたいなことを言っていました。舞台から降りたあと「嘘ついたった」とも言っていましたが、その自作解説はむしろ、みんなことがよくわからないけど、そんなものなんだよね、という絶妙な距離感を描き出した『わからないブタ』の方にダイレクトに関わってくるんじゃないかと思いました。この作品もまたごろごろとした異物がそこら中に溢れかえり、それらの間で微細なグラデュエーションの関係性が展開していくというものでした。(コヴァリョフ『ミルク』においては冷たく残酷に描き出されていたその世界。)

またしてもこれは僕の完全な主観ですけど、今ここで作品について長々と述べた大山、加藤、和田といった作家の作品は、面白かった、だとか、楽しかった、だとか、アニメーション的にすごい、だとか、そういったのとはまた別の次元で、アニメーションのことなど関係のない人が偶然遭遇して、ビビビと引きつけられてしまう可能性を所持したアクチュアリティをまとっているのではないでしょうか。そういった、異物たちが関係しあうことによって、ささやかな振れ幅での変容が起きていく世界を描いているがゆえに。

とても強引なことは承知していますが、TOKYO ANIMA!が意識的にか無意識的にかはわかりませんが達成しているのもそういうことなのではないかと思います。自律して存在するごろごろとした異物としてのインディペンデント・アニメーションを、その他の異物たちと関係させはじめてみること。言い換えれば、インディペンデント・アニメーションをひとつの成熟した領域として提示して、(今回の場合であれば)アートの領域というこれまたひとつの異物へと放り込んだ結果として起こる接触を楽しんでもらうということです。

TOKYO ANIMA!から始まる新しい展開は、間違いなくあると思います。それくらいに意義のある充実したイベントでした。

土居

        2010-03-29        TOKYO ANIMA!は素晴らしかったです(1)

アニメーション作家藤田純平発案のもと開催されたTOKYO ANIMA!、図らずもインディペンデント・アニメーションの中心的な上映場所になりつつある国立新美術館の講堂にて3/27、3/28の二日間、Boot upと副題も付けられた第一回が開催されました。初めの頃は会場が新美であることへの違和感などいろいろと疑問点があったのですが、実際に二日間通ってみたところ、そういったものはかなり払拭され、個人的に非常に楽しめました。

何が一番素晴らしいかといえば、誰かからの救い待ち、みたいな雰囲気が否めなかった日本のインディペンデント・アニメーション界隈において、作家側からの大規模なアクションが起こったことだと思います。なんだかんだいったって、自分たちのアニメーションについて一番切実に考えることができるのは自分たちなわけで、自分たちが不満ややりにくさを感じるのだったら、誰も何もしてくれないと愚痴を言うよりは不満ややりにくさを解消する方策を自分たちでとればいいわけで。なんらかの団体としてかちっとしてしまうよりも、ある程度の恣意や偏りがあったうえで、ある程度の緩やかさをもって作家たちが集められ、「どうですか?」とばかりに、仲間内上映会に留めずに、アートナイトの一角に場所を据えて外へと問いかけを行うこと、非常に有効だったと思います。お客さんの数も凄まじく、熱気を感じました。エキサイティングな場でした。(ちょっと誉めすぎ?)

なによりもシンポジウムが良かった。アヌシー、ザグレブとコンペ選考結果が発表されたばかりの時期にジャストの人選(加藤久仁生、大山慶、水江未来)に、一瞬「?」がよぎったものの、終わってみれば絶妙のマッチングと違和感が混ざりあうトークが展開されるための(言い方は悪いですが)触媒となったゲストの方々。大山慶、水江未来という「話せる」作家が的確に言いたいことを言い放っていた――短編を観る文化の欠如、世界の大勢を見通す視点の欠如と、それを補うための(レーベルを作るというアイディアを含めた)方策――のも非常に素晴らしかった。

このイベントは、00年代に用意された積み重ねられてきたものが新たな展開を迎えるための分岐点的なものになるんじゃないかと思います。タマグラに偏っていたのも別にいいと思います。30作品、総じて面白かったです。この規模のイベントが成立するだけの(余力も残していると思います)質と量とが日本のインディペンデント・アニメーションには用意されていたのだ、ということです。今年、藝大の一期生が充実の修了制作を発表し(ちいさな学校も独自性のある作品が生み出されていて面白かった)、(まだ予定にすぎませんけど)クリス・ロビンソンが日本のインディペンデント・アニメーションについて本を出し、オタワで特集が組まれ……広島もありますし、ほかにもいろいろなことが起こりそうですが、いやほんと、良い年になるんじゃないですかね?

でも、次ですよ、次。「ブーム」ではなく恒常的なものにするための、次の一歩がとても重要だと思います。今を逃してはいけません。僕も個人的にいろいろとがんばってみたいと思ってます。

印象深い作品についても書きたいのですが、次のエントリに回します。

土居

        2010-03-24        ザグレブ2010短編コンペのメンツがすごい

TAFFにお越しいただいたみなさん、ありがとうございます。
その報告については後日させていただくとして、
先日のアヌシーに引き続き、ザグレブでもコンペ入選作品が発表されています。
リストはこちらでダウンロード可能です。

アヌシーで鮮烈な印象を残してくれたVergine Keaton "I Was Crying Out at Life, or for It", アルカベッツの実験系新作"The Da Vinci Time Code"、個人的に最近最も感動した立体系作品"Lucia"のシリーズ次作"Luis"、ウォロシェンの新作"Playtime"、大山慶『HAND SOAP』、ちょこっと気になっている作家Joseph Pierce, "A Family Portrait"、Animate Projectの良質の成果のひとつでいろんなフェスに顔を出している"The Black Dog's Progress"、Blu『Muto』、オタワグランプリのハイドメッツ『インヘレント・オブリゲーション』、パルン夫妻新作"Divers in the Rain"、もはや新たなクラシック作品ピッコフ『ディアロゴス』、これもいろんなところでよくみる"The Phantom of the Cinema"、水江未来『JAM』、ヒュカーデの新作"love & Theft"、ランドレスの新作(あんまりよくないけど)『背骨』、ウシェフ&ロビンソン(また次も一緒にやるみたい)『Lipsett's Diaries』、ハーツフェルト必殺の作品"I'm So Proud of You"、アカデミー賞ゲット"Logorama"、オタワで印象に残った非常にクレバーな短編"Inukshuk"、シュヴィッツゲーベル"Retouches"、こちらも新クラシックのオライリー『プリーズ・セイ・サムシング』、オデルの新作"Tussilago"、アグリーでポップでクレバーでオランダグランプリな"Puppetboy"、PEZの良質の小品"Western Spagehetti"……「良い作品だな」と思ったものがことごとく入っております。去年アヌシーやオタワに行ったという事情もあってみたことある作品が多いというのもありますけど、ザグレブが二年に一度というのもありますけど、それにしても「近年ベストセレクション」という印象が強いです。どんな判断が下されるのはとても楽しみ。

パノラマの方にはサザランド"Astronomers~"、レスチョフ"Wings and Oars"、ヤンシス"Crocodile"、リホ・ウント"Lily"(観たい!)、NFB発の良作"Vive La Rose"、話題の人形アニメーション"Red-end and the seemingly...."、良作と噂の木漏れ日アニメーション、カール・レミュー"Mamori"、ウシェフ"Drux Flux"、メディア芸術祭で流れすぎ"The Chick"、長尾武奈『プッシーキャット』とこちらもなかなかのタレント揃い。

学生部門ではまたしても藝大一期生の修了制作から北村愛子『服を着るまで』、田中美妃『つままれるコマ』、そしてアヌシーに続いて和田淳『わからないブタ』と今度は三作品がコンペイン。着実に成果をあげておりますね。他にも"Rabbit Punch"やオタワでgreatだった"Lebensader"、いかにもエストニアの良作"Small House"などが入っております。

やはり二年に一度のセレクション、豊かさを感じます。どれが受賞するのは、とても楽しみですねえ。

ザグレブはアヌシーの直前、6月1日~6日までです。

ザグレブ国際アニメーション映画祭公式サイト

土居

        2010-03-21        GEIDAI ANIMATION 01+ 概観

さて今日は藝大大学院アニメーション学科の第一期生の修了制作展に行って参りました。明日朝はやく武豊に向かうので寝なきゃまずいんですが、今を逃すと書く機会を逸してしまう気がするので、このブログをわざわざ読みにきてくれる全世界の25人くらいの方に向けて、いちおう書いておきます。

総評はカタログに寄稿しています。単純にまとめれば、「短編アニメーションの歴史・遺産をきちんと把握・吸収したうえで作られる作品群がようやくまとめて観られるようになった」ということです。「これ、~っぽくない?」ってのはオッケーなんです。学生なんだから。これから完全に吸収しきるのだから。むしろ背後に何も感じさせない方が危ないですから。

二期生の収穫はなんといっても、『オーケストラ』の三人組のひとり、奥田昌輝『くちゃお』。やっぱりアニメーションなんだから極端に振り切れてるものがみたいよね、と思う人は迷わずGOです。キャラクターに対する岡本忠成顔負けのドライで冷徹な距離感で、ガム好きの嫌われ少年がぶちのめされます。振り切れる範囲できちんと振り切れているのが素晴らしいです。次はその範囲をもっと広げて、できるなら振れ幅の両脇が不可知の領域にまではみ出してくれたら、言うことなしです。一方、もうひとりの『オーケストラ』組、大川原亮『Walls』は焦点がぶれており残念でした。ヴィジュアルの実験をしたいのか、それとも何かを語りたいのか。前者については相当なハイクオリティだと思いますが、後者に足を引っ張られてしまっている印象です。今の時代に手描きでこんなに真っ当に抽象をやっている宋永盛『PART BLUE』には敬意を表します。ラストの展開は蛇足に思えますが、濃密な視聴覚シンクロを体験させてくれる作品です。また、牧野惇『穴』の荒々しさは非常に独特です。得体の知れぬ何かを一瞬きらめかせます。植草航『やさしいマーチ』(パイロット版)は、非常に楽しみなだけにあえて言わせてもらいますけど、今のところ音楽が負けてませんか? 杞憂ならいいんですが。

一期生の修了制作については、まさに「力」作が揃っている印象でした。
「短編アニメーションの遺産云々」という話でいけば、北村愛子『服を着るまで』は、その代表例といえるでしょう。小憎らしいほどに、少々優等生的に思えてしまうほどに、真っ当に「作家による短編アニメーション」しています。山村浩二~エストニアあたりに愛を感じる方には是非ともご覧いただきたい。三角芳子『Googuri Googuri』はもちろんキャロライン・リーフ『ストリート』を思わせますが、素材感バリバリの全画面クレヨンスクラッチはもちろん洗練以前・スタイル化以前の荒さの証拠ですが、荒さではなくポジティブに荒々しさとして考えうるものでしょう。アニメーションの若さと力技で持っていかれる作品です。和田淳『わからないブタ』は都合四度目の鑑賞でようやく掴めました。コヴァリョフ『ミルク』を通過した後に、開かれた新たな地平に出た、そんな印象です。「なんとなくわからない」ことと「なんとなくわかる」こと、そのあいだをぐらりぐらりと揺れ動く、素晴らしい余韻をもった作品です。ペトラ・フリーマン(ともしかしたら黒坂圭太)を通過した(この作家の場合は「呑み込んだ」と言った方が正しいか)銀木沙織は、母親の行き過ぎた愛情という人間のドロドロした情念を見事に描ききっており恐ろしいです。気をつけてご覧ください。

誤解を生みそうな書き方をしてしまったかもしれませんが、まあ、そこらへんはお許しを。
文字通りに読みすぎないことも時には重要です。僕がどのような前提に基づいて、どのような認識を無意識的に自明のものとして、話をしているかを想像していただいて、補完をよろしくお願いします。

22日までです。ユーロでも上映はあるそうです。

GEIDAI ANIMATION 01+

土居

        2010-03-21        明日(というか今日)のTAFF10ですが、

Ustreamにてシンポジウムが配信中継されるようです。
こちらでどうぞ。
予定では17:20-50までみたいッス。
『フミコの告白』の石田祐康さんも飛び入りで参加なさるそうです。

武豊アニメーションフィルムフェスティバル2010の公式サイトはこちらです。

会場にいらっしゃる方は、14:00からたっぷりとお楽しみください。
僕も拙いながら上映&解説をします。人前でしゃべるのが久しぶりです。あーどきどきしてきた。

とりあえず寝坊して間に合わないとかならないようにがんばります。
あーどきどきしてきた。

あの、『ライアン・ラーキン やせっぽちのバラード』、会場特別価格で販売しますんで、買ってくれたら嬉しいです。
帰りの荷物を軽くしてくださいませ。

土居

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        2010-03-20        セオドア・ウシェフ&クリス・ロビンソン&ザヴィエ・ドーラン"Lipsett Diaries"予告編

先日発表のアヌシー短編部門ノミネート作品のひとつ、Lipsett Diariesの予告編が観られるようになっています。
セオドア・ウシェフが監督、クリス・ロビンソンが脚本、映画俳優・監督のザヴィエ・ドーランがナレーションという三頭体制で制作されたこの作品は、(『ライアン・ラーキン やせっぽちのバラード』をお読みになった方にはご存知の)元NFBの実験映画作家アーサー・リプセットの生涯を元にしたアニメーション作品となっています。タイトルはDiariesとなっていますが、彼の人生の事実を元にしたフィクションだとのこと。クリス・ロビンソンの本を愛読されている方ならば、お馴染みのある対象へのアプローチの仕方です。予告編から得られる手触りは、アニメーションでは珍しい感覚の強度。アヌシーがプレミア上映となるようです。広島にも入ってくれればいいですが。



公式サイトはアヌシーでの初上映後に削除されるそうですので、今のうちに。
上記三人が名前を隠してそれぞれ書き込んでいるそうです。

土居

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        2010-03-18        アヌシー2010短編コンペリスト発表

今年50周年を迎えて相当気合が入っているであろうアヌシー2010のコンペ選考結果が発表されました。
ここです。今年は日本人が多いです。

日本人だけとりあえずピックアップしておきます。

○短編部門
大山慶『HAND SOAP』
押井守(!)『Je t'aime』
ひだかしんさく『恋するネズミ』
水江未来『Playground』
長島敦子『六畳半と四畳半』(?)

○テレビシリーズ部門
工藤進「チェブラーシカあれれ はじめてのともだち」
木村真二「ヒピラくん」
村山太「MeatorDie! ヤンス・ガンス Naomi」

○ミュージックビデオ部門
ナカムラ マギコ、中村 将良、川村 真司、Hal KIRKLAND『日々の音色』

○学生部門
和田淳『わからないブタ』
銀木沙織『指を盗んだ女』

○パノラマ部門
横嶋俊久『アマナツ』
加藤隆『はじまり』
ダイノサトウ『カエルのハコ』
合田経郎『こまねこのクリスマス 迷子になったプレゼント』
木村タカヒロ『Meat』
武藤健司『虫歯鉄道』

去年に比べたら非常に多いです。
藝大の一期生は見事に二本滑り込ませています。
元Animationsの面々も、大山慶、和田淳としっかり入っています。水江未来は初のコンペイン。
商業短編が増えているのは、やはりアヌシーの存在が広く認知されつつあるからでしょうか。

短編部門、他の有名どころはビル・プリンプトン、セオドア・ウシェフ、マルコム・サザランド、アンドレアス・ヒュカーデあたりの新作でしょうか。他の面白げな作品については、まだスチルが掲載されていないのでなんとも言えませんね。

去年プレス申請して参加したのでプレスリリースが送られてきているのですが、いやはや、参加するゲストも豪華です。……が、あまりに偏りすぎている印象があるので、きちんと確認次第また報告します(今回送られてきたのはフランス語版のみ。)

さて、今年は参加できるのかなあ……?

長編の発表は月末です。

土居

        2010-03-15        3月後半~4月前半の上映イベント

ああ、こんなギリギリに……
3月後半から4月にかけての上映イベントピックアップ情報です。

3月20日(土)~22日(月) GEIDAI ANIMATION 01+ @東京藝術大学馬車道校舎
→国立大学初のアニメーション専攻の大学院、ついに一期生の成果が発表されるときが来ました。作家としてすでにお馴染みの和田淳『わからないブタ』など修了制作が11作品、さらにタレント揃いの二期生の一年次制作のものが12作品、20日は冷水ひとみ&岸野雄一&山村浩二の音楽対談、21日は相原信洋&伊藤有壱のこれから対談もセットになっているようです。事情あって修了制作の方は全作品みさせてもらいました。まさに「力作」とよべるものが揃っていますので、心して観にいってみてください。

この連休、東海圏の方々にはこちらをおすすめしておきます。
3月21日(日) 武豊アニメーションフィルムフェスティバル2010 @武豊町民会館 響きホール
→毎年恒例の意欲的催し、TAFFです。日本のインディペンデント・シーンを網羅せんという気概に溢れたものとなっています。なんと今年は僕も招いていただきました。「海外アニメーションの地殻変動」というタイトルで、5作品上映&解説をやります。上映作品は、このブログの読者ならお馴染みの作家・作品ばかり。逆に、それをいっぺんに観ることができるまたとない機会です。上映作品については、ホームページをご覧下さい。

さて、その次の週末にも注目すべき催しがあります。
3月27日(土)~28日(日) TOKYO ANIMA! @国立新美術館3階講堂
→藤田純平の呼びかけのもと、日本の若手短編作家30人の作品が一堂に会します。作家側からの主体的な仕掛けによるイベントという点で、これは実に素晴らしい試みだと思います。作家が多摩美卒に偏っていますが、そこらへんはご愛嬌ということで。ここで新作お披露目となる作家さんも多いようです。これは見逃せません。いや、見逃さないでください。

モロかぶりですが、
3月27日(土) 美大生のアニメーション2 @アップルストア銀座
もあります。

TOKYO ANIMA!と同じ六本木では、ちょっと変わり種の企画もあるようです。
3月28日(日) ルネ・ラルー映画祭 @シネマート六本木
→ルネ・ラルーの特集上映が唐突に開催されます。しかも大山慶がゲストに……前日にはTOKYO ANIMA!にも出演の大山氏、売れっ子ですね。『ガンダーラ』『ファンタスティック・プラネット』は35mm上映ですね。素晴らしいです。

4月の週末にも注目イベントはあります。
4月10日(土)~11日(日) 花開くコリア・アニメーション @UPLINK FACTORY
→毎年恒例になりつつある韓国アニメーション特集、今年も開催されるようです。今年の東京のゲストは、このブログでも触れている『DUST KID』の監督チョン・ユミ。日本アニメーション学会会長の横田正夫との対談が予定されています。

他にもアニメーション女子が好きな方には必見の「コマコマ展~ワタシたち、アニメーション!~」など、いろいろとあるんですけど、ちょっと追いきれません。アニメーション総合文化研究所プレゼンツのここをチェックしてみてください。

噂によると5月には僕がひとりで騒ぎまくってる作家の回顧上映がどこかであるそうです。(作家本人が教えてくれたのでおそらく間違いないでしょう。)

8月には広島もありますしね。(作家のみなさん、出しましたか?)

Animationsだって負けないんだから。きっとなんかやってやる。

土居

        2010-03-14        ライアン・ラーキンDVD、ついに発売決定!

ついに出ます、「ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション」のDVDが!
しかも、劇場公開時よりもさらに豪華になったコンテンツをのせて!
詳しくは公式ブログを!

amazonでもすでに予約受付中です。
DVD「ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション」[Amazon]

この件に関してはまた後日詳しく!!

土居

        2010-03-07        ヒュカーデ新作はズル剥けアニメーション?

久しぶりの更新が卑猥なタイトルでごめんなさい。
ほんとはメディア芸術祭などなどのこと書きたかったのですが、いろいろとあって忙しく……

クリス・ロビンソンからアンドレアス・ヒュカーデの新作が完成したという話をききました。
調べてみたところ、所属スタジオのホームページに予告編らしきものが載っていました。

Studio Film Bilder: "Love & Theft"

観てみてびっくり、まるで皮がズルッと剥けていくようなメタモルフォーゼが延々と続いています。一体どういうお話なのでしょう?それとも、お話などないのでしょうか。タイトルはボブ・ディランからです。

ベルギーのアニマではパルンの新作"Divers in the Rain"がグランプリを取りました。ヒュカーデの新作ともども、今年の映画祭シーンを騒がせそうな作品です。これらが2年に一度開催のザグレブや広島では去年のサイクルの作品とも混ざりあって上映されていくことになります。去年はアニメーションの新たな胎動が感じられました。巨匠たちの新作もおりまぜられた、充実した年になることを願うばかりです。

3月は毎年実にいろいろなイベントがあります。個人的なピックアップはもう少ししたらお知らせしますが、最近こんなようなページができています。

アニメーション上映・イベント情報

アニメーション(「アニメ」以外)とクラシックな映画などの上映情報がカレンダー内に載せられています。
重宝しそうです。

Animationsとしては、今年はいろいろと仕掛けていきたいと思っております。
ご期待ください。

土居

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