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        2009-06-10        アヌシーインターナルアニメーションフェスティバル09(2)

アヌシー二日目。ものすごく晴れていて、湖が本気出した。シャイニーな湖面のおかげで会場までの道筋が楽しくて仕方ない。いつもの倍以上の50分かかったせいで、10:30からの回はパス。足こぎボートに乗って興奮。顔が日焼けする。クロクで知り合った(そして二人とも去年の広島のコンペ作家でもある)『ラブシック』のスペラ・カデツ、『ボットゥーバートー』のマリーナ・ロセットに発見され、少々話す。パーティーの開催について教えてもらって、ようやくフェスティバルの幕が開けたような気がした。

14:00~は、スタレヴィッチよりも先に人形アニメーションを作っていたバレリーナ、アレクサンドル・シリャーエフのドキュメンタリー。実際のアニメーションのシークエンスが随時挿入されていくが、非常に面白くて興奮。パレエの研究のための動きの記録→教育利用のための線画抽出→トリック撮影の発見による人形アニメーションという過程が手にとるようにわかる。バレエシーンのアニメーションのレベルが高いことに感心するとともに、あまりに踊るシーンが長いことに苦笑。

16:00~は『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ』初長編。長編だけど、展開は非常に地味。というかいつもどおりの延長線上。この作品の魅力は爆笑できる展開というよりかは、思わず感心してしまうような芸の細かさやアニメーションとして非常に気持ちよく成立している動きの妙にあるということを改めて確認。

18:00~はドイツ特集。時代性を感じる……というか、え、これが2000年代の作品?と思ってしまうようなものもちらほら。プログラムに選ばれたもの自体は、派手さがなく非常に堅実というか石橋を叩いて壊すような内容の作品が多く(わかりにくくてすいません、アニメーションの本質的な不可思議を問題にする作品が多かったということです)、これがドイツの色なのか、それとも選定のポリシーなのか。ヒュカーデの『リング・オブ・ファイアー』を大画面で観て、だいぶ印象が変わった。成長することの痛ましさ。大人ぶってみることの痛ましさ。こんなはずじゃなかったのに、という、でも結局はそれ以外の選択肢はありえないという痛ましさ。涙が出てくる。

雨がすごいので、夜飯はメイン会場近くの総菜屋で買い、会場で食べる。みんな狭い会場に閉じ込められている。

21:00~はコンペ2。すいません、昨日のコンペ全体の印象、先走りすぎました。今日のコンペはかなり強力。ひとつとして面白くない作品がなかった。ラン・レイクを思わせるようなリズムのアニメートで、動物たちや彼らが暮らす自然の世界のダイナミックな崩壊と再生を描き出すI Was Crying Out at Life, or for It(Vergine Keaton)の迫力には本当びっくり。これは新しいかも。これ賞とってほしい。日常的な材料で見せかけのスパゲティを完成させるWestern Spaghetti(PES)は見せ方のうまさに舌を巻く。大喝采を受けた本人はムサいおっさんで意外な気持ちがした。先日から少々ハマり気味のPlease Say Something(David Oreilly)には相変わらず涙が出てくる。フォリマージュのアーティスト・イン・レジデンス新作Rains(David Conquard-Dassault)はラフな絵なのにしっかりと雨に包まれる世界が現出していて素晴らしい。大雨に閉じ込められる人々の感じる狭苦しさは大雨のアヌシーの今日にも通じる。Wings and Oars(Vladimir Leschov)は非常に不思議な雰囲気。『岸辺のふたり』やら中国やらコヴァリョフやらいろいろなものを思わせて掴みきれない。Tiny Legs of Fire(Doug Bayne)は良い意味での下らなさ。思わず笑いが。44分という長さに恐れをなしたのかなんなのか始まる前から大量に人が会場を後にするお寒い雰囲気で始まったLife without Gabriella Feri(Priit Parn and Olga Parn)は大画面でフィルムでの上映で肉感性と緊張感が高まる。途中で出て行く人たちにときおり集中を邪魔されつつも、やはり素晴らしい作品であることを再認識。出て行きたくなる気持ちもわかるけど、きちんとみたらこんなにいろいろと与えてくれる作品はないと思うので残念な気分になる。

23:00~は学生コンペ1。信号係を担当する熊(?)のある一日を描いたSignalis(Adrian Fluckiger)は信号の入れ替わりとあわせたリズミカルな展開が素晴らしい。自殺しようとする男の内的世界を描き出すNever Drive a Car When You're Dead(Gregor Dashuber)はトム・ウェイツみたいな作品だった。Notebook(Evelien Lohbeck)はノートブックをノートブックパソコンにみせかける拙いながらも愛くるしい作品で会場の空気をほっこりとさせる。体内に宿る生命の水・生命の火を灯らせるL'Abandon。『霧のなかのはりねずみ』のことを思い出さないことが無理なAccording to Birds(Linde Faas)。

紙飛行機の数が昨日に比べて断然増える。動物の鳴き声の数も(今日は上映中にまできこえてきた)。ウサギが画面に出てくるとYEAHHHHHHHHHHHって歓声があがるのはなんなのだろうか。しかし、アヌシーの観客ってほんとアレですね・・・・・・・ 

一時近くだけれどもパーティーへ。ボーリング場が会場。もうすでにみなさん出来上がってて入り込む余地がなく、学生コンペ入選の松田さんなどとうるさいので屋外で震えながらゆったりと話す。マリーナ・ロセットがここにはとても書けないような日本語を披露してくれて思わず吹き出してしまった。誰があんな言葉を教えたんだ。最終バスの3時で会場に戻り、今日はタクシーを使う。運ちゃんが良い人だったのでほっこりとした気持ちに。

作品・作家のホームページのリンクは貼ってませんけど、気になったものはみなさん各自で検索していただけるとありがたいです。いくつかは広島にも来ると思いますけども。

土居
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